ITmedia NEWS > 科学・テクノロジー >

小保方氏が「200回作った」STAP細胞とは何だったのか 検証チームの見解は(1/2 ページ)

» 2014年12月19日 15時48分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 理化学研究所は12月19日、「STAP細胞」の検証実験で、細胞が刺激によって多能性を獲得する「STAP現象」を再現できなかったと発表した。小保方晴子研究員も実験に参加したが、自ら「200回成功した」と話していたSTAP現象の再現には至らず、理研に退職を申し出た。来年3月までの1年間を予定していた検証実験は、11月で打ち切る。

画像 記者会見の様子。左から2人目がチームリーダーの相澤慎一氏、3人目が副チームリーダーの丹羽仁史氏

 検証チームは、細胞が刺激によって初期化し、多能性を獲得する「STAP現象」が存在するかを確かめるため、万能細胞の目印となる遺伝子が発現すると緑色に光るように(GFP緑色蛍光)遺伝子操作したマウスの細胞を使って実験した。相澤慎一氏がチームリーダーを、丹羽仁史氏が副チームリーダーを務め、小保方氏も研究員として参加した。

画像 小保方氏(4月の記者会見時)

 小保方氏は、脾臓由来のリンパ球を塩酸で刺激し、多能性を確かめる実験を行った。緑色に光る細胞塊は検出したものの、その数は論文に書かれた数より1けた少なく、多能性は確かめられなかった。丹羽氏は、肝臓と心臓の細胞を酸やATP(アデノシン三リン酸)で刺激する方法を試し、緑色に光った細胞塊を検出したが、多能性は確かめられなかった。

 細胞塊に多能性があれば、別のマウスの胚に移植すると、両方の遺伝子を持つ「キメラマウス」(キメラ胚)ができる。これを確かめるため、小保方氏の実験で作成した細胞塊1615個を別のマウスの胚に移植したが、キメラ胚は1つもできなかった。丹羽氏が作成した細胞塊も244個の胚に移植したが、キメラ胚は1つもできなかった。

 これらの結果から検証チームは、「論文に記載された方法ではSTAP現象は再現できない」と結論付け、来年3月まで予定していた検証実験を4カ月切り上げ、11月で打ち切った。

 再現実験の予算は1年間で1300万円。実験は予定より早く打ち切られたが、当初想定していなかった小保方氏の実験参加により実験室の改装費が500万円かかり、合計で1500万円の予算を使ったという。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.