「ハイスコアガール」事件、知財専門家らが刑事手続きに反対声明 「侵害が明らかではなく、表現活動に委縮も」
漫画「ハイスコアガール」が他社のゲーム作品のキャラクターを無断使用し、著作権を侵害したとして作者やスクウェア・エニックス社員ら16人が書類送検された事件で、知的財産法の研究者や実務家ら27人が12月22日、「著作権侵害の成否が明らかでない事案について刑事手続が進められることに反対する」とする声明を発表した。
声明には中山信弘 明治大学研究・知財戦略機構特任教授や田村善之 北海道大学大学院法学研究科教授、福井健策弁護士や藤本由香里 明治大学国際日本学部教授らが賛同している。
声明では、今回のケースについて、「著作権侵害の要件としての類似性が認められない可能性、また適法な引用に該当する可能性などがあり、著作権侵害が明確に肯定されるべき事案とは言いがたい」と指摘。著作権の「微妙」な事件では一審、二審、最高裁で判断が分かれることも多いとし、開発者が著作権法違反のほう助罪に問われたWinny裁判のように、「微妙」なラインの事件が立件され、最終的に無罪が確定したケースがあることも挙げている。
刑事手続きについては、海賊版など「明らかな侵害行為」については「実効性の点で重要な意義を有する」とした上で、今回のように侵害が明らかではない事案で強制捜査や公訴などの手段を進めることは「今後のアニメ・ゲーム・小説・映画等あらゆる表現活動において重大な萎縮効果をもたらし、憲法の保障する表現の自由に抵触し、著作権法の目的である文化の発展を阻害することとなりかねない」と指摘。著作権侵害についての刑事手続きは慎重であるべきだとしている。
同作品をめぐっては、SNKプレイモアが自社ゲーム作品のキャラクターを無断で使用され、著作権を侵害されたとしてスク・エニを刑事告訴。8月に大阪府警がスク・エニを家宅捜索し、11月には法人としてのスク・エニと、作者の押切蓮介さんやスク・エニ社員ら16人が書類送検された。
一部報道によると、大阪府警はスク・エニと押切さんらについて、起訴を求める意見を付けたという。作品は現在連載を休止しており、単行本も自主回収されている。
発表を受け、Twitterでは連名者の福井弁護士や藤本教授のほか、漫画家の赤松健さんなども支持を表明している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
防衛省の「クーラー300台」投稿動画でビックカメラのトラックが注目を集める 同社「販売用の在庫を迅速に提供」
-
2
一般消費者が「空調服」と書いたら商標権侵害? 公式Xの注意喚起が波紋、弁理士の見解は
-
3
ソニー、タムロン買収提案の狙いを説明 「イメージング事業の発展につながる」
-
4
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
5
セブン&アイ、共通会員IDのPayPay統合を正式発表 ソフトバンクや三井住友カードなどが計3000億円出資
-
6
タカラトミー、デュエマアプリで個人情報漏えいか 最大15万5000人分 氏名や住所など閲覧の恐れ
-
7
「文スト」スマホゲーム、きょう告知→あす終了 突然のサ終にユーザー混乱 運営元の廃業で
-
8
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
9
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
10
キオクシアQ1、純利益が前年同期比4500%増 株式分割・自社株買いも
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR