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今度は簡単に弾けるショルキー型「VOCALOID KEYBOARD」2015年モデル、その仕組みを詳しく聞いてきた(1/2 ページ)

» 2015年04月27日 11時48分 公開
[松尾公也ITmedia]

 2012年のニコニコ超会議で披露されたヤマハの「VOCALOID KEYBOARD」。その後音沙汰なくもう終わりかと思われていたが、「もうさっさと売ってくれ」というくらいの完成度で帰ってきた。ヤマハの担当者に詳しい話を聞いてきた。

photo 2012年モデルも手がけた濱野さん

 2012年モデルでは、左手で歌詞をリアルタイムで入力するというところがポイントだった。どんな歌詞でも対応可能な半面、歌詞入力と鍵盤によるメロディー演奏というまったく異なる動作を並行して行う必要があるため、操作は難しかった。

 2015年モデルでは、歌詞をプリセットしておくことで、メロディーの演奏に専念できるようになった。スタイラスで、パソコンから転送した歌詞を再生するポケットミクに近い考え方だ。演奏が簡単にできるため、ギターのストラップを使った37鍵ショルダーキーボードとして肩にかけて演奏できる。

 VOCALOID KEYBOARDの中身はポケットミクに使われているNSX-1チップに組み込まれた簡易型のeVocaloidではなく、VOCALOID-boardがベース。VOCALOID2のエンジンがほぼそのまま使われている。開発を担当したヤマハ 電子楽器開発部PK開発グループ 濱野桂三さんによれば、eVocaloidと比べてレイテンシーが少ないため、このエンジンに決めたのだという。

 あらかじめ決めた歌詞であっても、簡単に演奏できるとは限らない。演奏途中で歌詞を弾き損ねたり、進みすぎたりというミストーンの危険が潜んでいるものだが、このモデルではミス対策も用意している。区切りまで戻る、1音戻る、フレーズを進めるといったボタンで左手で操作できるのだ。この区切りの位置は歌詞入力のときに設定しておける。

 リボンコントローラでピッチの上げ下げをギターのチョーキングやトレモロアームのようにできたり、サステインで音を伸ばしたり、ループ再生を効果的に使ったりと、楽器としての表現力も大幅に向上している。

photo 区切りまで戻る、1音戻る、ループ再生、サステイン、フレーズを進めるの5つの操作を左手でできる

 VOCALOIDの主要なパラメータをスイッチで選び、音色をその場で変えていくことも可能だ。右手側には4つのコントロールノブ。ビブラート、ポルタメント、ブレシネス、ブライトネス、ジェンダーを選択して、VQボタンで変化させる。さらにボリュームボタン、歌詞セレクターがある。

photo ちょっと見はレスポールみたいな4つのノブ

 歌詞は5種類まで保存できる(歌詞セレクターで選ぶ)。iPhoneからMIDI over Bluetooth経由で歌詞を転送する仕組み。現在はかなで入力し、そこにスペースがあれば、それを区切りとみなすという仕様だ。

photo 本体ディスプレイに表示
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