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「まったくの事実無根」 東京五輪エンブレムのデザイナーが会見、盗用疑惑を強く否定 書体など詳細も説明(3/4 ページ)

» 2015年08月05日 13時39分 公開
[岡田有花ITmedia]
画像 ヘイ・スタジオの「Rebuild japan」のデザイン(スタジオの公式サイトより)

 それでも「似ている」という指摘が相次いだことについての思いを問われると「エンブレムやロゴはシンプルでなくてはならず、アルファベットをベースに作るとどうしても類似するものは出る」と釈明しつつ、「一部分だけ取り出せば似ているところはあると思うが、全体を見ていただければそれは全くないと思っている」と、デザインのオリジナリティに自信をみせる。

 スペインのデザイン事務所ヘイ・スタジオが、東日本大震災からの復興支援のための作ったロゴと配色が似ているとの指摘については、「スペインのデザインも報道を通じて初めて拝見した。色が似ているとのことだったが、赤と金と銀とか黒は、スペインの方のオリジナルというよりは、日本的な色だと思った。まったく似ていると思わなかったし、そこを似ているとしてしまうと、すべてのデザインが似てくるのではないかと思うくらい。ちょっと心外な感じがしたのが正直なところ」と述べた。

 記者会見を通じ、「ベルギーのデザイナーに、自分のデザインの考え方やポリシーをお伝えすれば、理解していただけるのではないか」と佐野さんは期待している。

これまでにも「“パクった”ことは一度もない」

 オリンピックのエンブレムをデザインすることは佐野さんの夢で、コンペに参加できることを「名誉」に感じたという。「誓って申し上げるが、これまでの知識や経験を集大成して仕上げた、私のキャリアの集大成と言える作品」であり、そんな作品で「そういうもの(海外のデザインなど)を参考にすることはない」と強調する。

 夢を叶えた矢先のこの騒動。「どうしてこういうことになったのか正直分からないこともあり、(指摘があってから今日まで)かなり不安な時間を過ごした。非常に驚いたと同時にものすごくショックで、正直、結構つらかった。落ち込むこともあった」と、困惑の表情を浮かべる。

 ただ、「世界に類のないエンブレムができたと完成時に確信した。エンブレムは自分がゼロから作ったものなので、これ以上のものもないし、五輪のこれからの活動を集約していくエンブレムになった自信はある。その意志は揺らぐことはない」と胸を張る。

 ネットの一部では、佐野さんのほかの作品について盗用疑惑を指摘する人もいるが、佐野さんは「アートディレクター・デザイナーとして、ものを“パクる”ということをしたことは一切ない」と断言する。

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