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「まったくの事実無根」 東京五輪エンブレムのデザイナーが会見、盗用疑惑を強く否定 書体など詳細も説明(1/4 ページ)

» 2015年08月05日 13時39分 公開
[岡田有花ITmedia]

 「まったくの事実無根だ」――2020年東京五輪のエンブレムを作成したデザイナーの佐野研二郎さんが8月5日に記者会見を行い、デザインの盗用疑惑を改めて否定した。盗用元とされたベルギーの劇場のロゴデザインとは「考え方がまったく違う」とし、エンブレムのデザインの成り立ちを説明。「要素は同じものはあるが、まったく似ていないと思った」と話した。

画像 記者会見する佐野さん(ニコニコ生放送のライブ中継より)

 エンブレムのデザインをめぐっては、ベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビさんが、自らがデザインしたリエージュ劇場のロゴと酷似していると訴え、日本オリンピック委員会(JOC)などに使用停止を求める書簡を送付。使用停止しなければ法的手段に訴えるとしている。また、スペインのデザイン事務所ヘイ・スタジオが、東日本大震災からの復興支援のための作ったロゴとも似ていると指摘されていた。

 佐野さんは7月31日、大会組織委員会を通じて「報道されている海外作品についてはまったく知らない。制作時に参考にしたことはない」と文書でコメントを発表。海外出張から帰国した翌日となる8月5日、組織委員会とともに記者会見を開いて改めて説明した。

「ベルギーに行ったこともロゴを見たこともない」

 会見の冒頭、佐野さんは「エンブレムのデザインについて、ベルギーのデザイナーから『盗用ではないか』と指摘を受けたことについて大変驚いている。まったくの事実無根だ」と盗用疑惑を強く否定。「ベルギーに行ったこともないし、(劇場の)ロゴも一度も見たことがない」という。

 ドビさん側は「ロゴ画像はPinterestで頻繁に共有されている」とし、ネットで見た可能性があると指摘しているが、佐野さんは「Pinterestは見ていない」と反論する。

「T」と円をベースにデザイン

 佐野さんによると五輪エンブレムは、TOKYOの「T」の書体と円を組み合わせて発想。力強さと繊細さをあわせもつ欧文書体「Didot」「Bodoni」の「T」をベースに、亀倉雄策さんがデザインした、1964年の東京五輪のエンブレムの日の丸を重ね、正方形の中に収めた。

画像 オリンピック(左)とパラリンピックのエンブレム
画像 欧文書体「Didot」「Bodoni」の「T」

 さらに、正方形を9分割した真ん中に「T」の縦棒である黒いラインを配置。右上には、心臓の鼓動と、64年五輪エンブレムの日の丸のイメージを重ねた赤丸を置き、エンブレムの下に来る五輪の赤丸と同じライン上に赤丸が来るようにした。Tの横棒の右の部分は赤丸に場所を譲り、右下に反転して配置した。

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