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“即戦力だけ”は「産業界の求める人材とは対極」 経団連、国立大の文系学部見直しに声明

» 2015年09月11日 12時29分 公開
[ITmedia]
画像 経団連の声明

 日本経済団体連合会(経団連)はこのほど、文部科学省が6月に各国立大学に通知した、文系学部の見直しを求めた通知について、「即戦力を求める産業界の意向を受けたものとの見方があるが、産業界の求める人材像はその対極」との声明を発表し、安易な見直しへの懸念を表明した。

 文科省は6月、各国立大学に通知した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」で、18歳人口の減少を見すえ、教員養成系や人文社会科学系の学部について、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努める」などとした。

 経団連は、産業界が求める人材像として、「理系・文系を問わず、基礎体力や幅広い教養、課題発見・解決力、外国語によるコミュニケーション能力」などが大切とし、大学・大学院では、専門分野の習得に加え、留学などを通じた文化・社会の多様性の理解などが重要と指摘。理系でも文系科目を学ぶこと、文系でも理系の基礎知識を身につけることも必要と指摘する。

 一方で、日本の公教育は「画一的、知識詰め込み型」で、産業界の求める人材に必要な能力は身につけにくいと指摘。各大学が学長のリーダーシップの元、強みや特色を生かす形で機能分化を進め、主体的な改革・経営刷新を行うことを求めている。また、政府に対して、大学の主体的な改革を最大限尊重するよう求めている。

 経団連は、大学幹部との直接対話などで意見交換に努めるほか、企業人講師の派遣やカリキュラム作りでの協力、海外留学のための奨学金事業などを通じ、大学との連携を強化するとしている。

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