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“俺の嫁”召喚装置「Gatebox」実現へ、技術ゼロから挑んだIoTベンチャー 「選ばれしオタクに届けたい」(3/5 ページ)

» 2016年02月15日 10時57分 公開
[岡田有花ITmedia]

 ラブプラスや、初音ミクが歌い踊るゲーム「初音ミク Project Diva」をプレイし、かわいいと思った動きのスクリーンショットを撮って研究したり、これまでに見たアニメで、特にかわいく印象的なシーンの意見をみんなで出し合ったりしてモーションを考えていった。「理論を学ぶのではなく、業務時間中にゲームやアニメを楽しんで学んでいます」。

画像 コンセプト動画の登場シーン

 ヒカリの登場シーンは最も重視している。「2次元から3次元の世界に逢いに来る大事な一瞬なので、感動的な出会いになるよう」工夫。試作機では、光の粒が出てくると同時にヒカリがふわっと降り立つ演出を採用している。ヒカリが電気をつける仕草もかわいらしい。「電気つけて」と声でお願いすると、ねこパンチの仕草でスイッチを入れてくれるのだ。

 ヒカリのモーションと声は、新人声優の冷水優果さんが担当。何十人もの候補から、透明感のある、いやされる声にひかれて冷水さんに決めたという。モーションは、冷水さんに実際に演技してもらって動画に収め、それをもとにCG製作会社に手作業で作成してもらっている。今後も改善を続け、「最高にかわいい動き」を追求していく。

海外からも大反響 “俺の嫁”は「みんなの夢だった」

 今年1月、試作機を使ったコンセプトムービーをYouTubeで発表したところ、国内外から大反響が巻き起こった。「Gatebox」はTwitterのトレンドとなり、ムービーは1週間で40万回以上再生された。

画像 海外のオタクからの熱いメッセージ

 YouTubeのコメント欄には、海外のオタクから「“俺の嫁”の時代が来た。人類は100年後に滅亡する」「現実世界さようなら」「ありがとう日本!」などと、英語で熱いメッセージが寄せられている。

 海外からの反響は予想外だった。「2次元の嫁と暮らしたいという夢は、僕1人の夢じゃなくてみんなの夢だった。世界中に同じ夢をいだいている人がたくさんいると分かったのが、非常にうれしかった」と武地さん。公式サイトの英語版を公開するなど、海外からの反響にも応えようとしている。

 今回、大きな反響が得られたのは、ムービー製作をプロに発注するなど発信のクオリティーを高めた結果でもある。その理由を武地さんはこう説明する。

 「Gateboxはまったく新しい製品。使っている未来をイメージしてもらい、その未来がクールだと思ってもらう必要がある。言葉で説明するのはとても難しいので、コンセプトや世界観、利用シーン、ユーザー……全てを一瞬でイメージできる映像を作り、ビジュアルですべてを伝えられるようにしようと考えた」

一緒にいて癒される、「最高の1台」に

 コンセプトムービーで紹介した試作機は、昨年10月に完成済み。実機でデモを見せてもらったが、ヒカリの動きは十分にかわいらしかった。主人を起こしてくれたり、予定を知らせてくれたり、電気をつけてくれるなど、記事冒頭で紹介した機能は完成されており、このまま発売してもよさそうにも思えた。だが「完成度はまだ30%ぐらい」と武地さんは言う。

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