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北海道・美瑛町「哲学の木」、苦悩の末の伐採 観光客のマナー悪さ目立つ

» 2016年02月25日 19時04分 公開
[ITmedia]

 北海道美瑛町の観光名所であるポプラの木「哲学の木」が2月24日、所有者の農家によって倒された。寿命が迫っていたことに加え、訪れる観光客の迷惑行為が相次ぎ、農業に支障が出ているためだという。

photo 写真家・中西敏貴さんのブログより

 美瑛町南部を走るパノラマロード沿いに、1本だけ立っていたイタリアポプラの木。地面に対して首をかしげるように傾いて立つ姿から「哲学の木」と呼ばれ、写真撮影の名所として知られていた。

 所有者の友人という写真家・中西敏貴さんは、自身のブログで「哲学の木は寿命を全うしようとしていました。かなり弱っていたことは間違いありません」と状況を説明。農作物のあるシーズンに倒れないように「昨年から決断していた」という。

 倒木の危険性だけでなく、農作業中の姿を撮影したり、無断で畑に侵入したりといった観光客やカメラマンのマナーの悪さも一因であると指摘している。2013年には所有者が幹に赤いスプレーでバツ印を描いたほか、昨年には撮影禁止にするなどしたが、迷惑行為は後を絶たなかった。

 中西さんは「倒れる瞬間、涙が止まりませんでした」とコメント。「美瑛のみならず、観光スポットでのマナー向上につながる大きな一歩になれば、きっと哲学の木も成仏できる」と述べ、「さようなら『哲学の木』」と結んでいる。

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