至るところに広告が目につく駅やショッピングモール。床面にペタリと貼り付けられ、見下ろすようなものが増えているような気がしませんか? 「フロア広告」と呼ばれるこのスタイルが広がったのはここ20年ほどのこと。21世紀の日本人の“常識”の変化も見ることができるのです。
フロア広告とは、大型のデジタル印刷技術が発達してきた1990年代から欧米で発展してきた手法です。それ以前は、図案入りのタイルや横断歩道の白線と同じ塗料などが使われていました。駅の改札口近辺やアミューズメント施設やショッピングセンターの入り口など、広告だけでなく、道案内や催事の告知にも使われています。歩く人の身体の向きに合わせて方向をダイレクトに指し示すことができ、便利で親切なアイテムですね。
だんだん見慣れてきたこのスタイルですが、実は今から十数年ほど前の日本ではクレームや批判の嵐でした。渋谷の街を彩る広告を取り上げた回でもご紹介しましたが、多くの屋外広告はシールやステッカー素材を貼り付ける掲出タイプがほとんど。ステッカー素材のクレームとして多いものとして「めくれて剥がれてきてみっともない!」があります。フロア広告の場合、プラスして「通行人が転んだりしたら大変」という指摘も考えられるでしょうか。
――実際は、全く異なる角度の問題、日本人の文化や習慣によるものでした。
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