壊れた「ひとみ」世界初の成果 銀河団のガスの動き観測 「意外に静かだった」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)のX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)が、故障前に世界初の成果をあげていたことが分かった。銀河団のガスの運動の観測に世界で初めて成功し、予想よりも動きが穏やかだったことを突き止めていた。JAXAなどの研究チームが科学誌「Nature」に7月7日付けで発表した。
ひとみは2月17日に打ち上げられ、約1週間後に観測装置を立ち上げ、試験観測を始めていた。その後、誤って高速回転して分解し、3月26日に通信がとだえた。
試験観測中、X線を広視野・高感度で画像化する「軟X線分光検出器」(SXS:Soft X-ray Spectrometer)を使い、太陽系から2億5000万光年離れたペルセウス座銀河団を約1週間かけて観測した。SXSは、05年に打ち上げられたX線天文衛星「すざく」のCCD検出器の20倍以上の精度で高温ガスの運動を測定できることを軌道上で実証していたという。
銀河団中心部の高温ガスは、巨大ブラックホールから吹き出すジェットとぶつかることでかき混ぜられ、大きく乱れていると予想されていたが、ひとみのSXSが測定したガスの運動は「意外に静か」だったという。銀河団の中心から10万~20万光年の範囲では、高温ガスの乱れた運動の速さは毎秒160キロ/秒程度。この運動が発生する圧力は高温ガスの熱的な圧力の4%に過ぎず、これも予想を下回る低い値だったという。
予想がくつがえされたことで「謎が深まり、さらに議論を呼ぶことになるだろう。銀河団の考え方について新たな見地が見いだされるかもしれない。実証データが加わったことで、シミュレーションにより研究にも刺激を与えるだろう」(JAXAの広報担当者)としている。
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