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公取委、大手キャリアの携帯販売に「独禁法違反のおそれ」 端末と通信のセット販売などに苦言

» 2016年08月03日 12時16分 公開
[ITmedia]

 公正取引委員会は8月2日、大手キャリアによるスマートフォン販売について、競争政策上の課題を整理した文書を公表した。端末と通信のセット販売による端末料金の大幅な割り引きなどについて、「独占禁止法違反の恐れもある」と警告している。

 文書では、大手3キャリアを中心としたMNO(移動体通信事業者)の携帯販売について、MVNOとの競争を促進する視点から、さまざまな指摘を行っている。

 MNOが端末と通信をセットで販売し、実質的な端末価格を大幅に値引きする販売手法は「見直しが望ましい」と指摘。この販売手法がMVNOの新規参入を阻害していると判断されれば、たとえMNO各社の個別の判断に基づくものであっても「私的独占など、独禁法上問題になるおそれがある」と警告している。

 MNOの端末は、割賦販売の総額が機種ごとに固定されており、代理店が販売価格を自由に決められないことが多い。これも、再販売価格の拘束・拘束条件付取引として独禁法上問題になる可能性があるとしている。

 MNOによる端末のSIMロックも「競争を阻害する」とし、「SIMロックの設定をしないことが望ましい」としている。

 2年契約を条件として通信料を割り引く、いわゆる「2年縛り」については、「中途解約時に不当に高い契約解除料を設定してユーザーを囲い込むことは、競争政策の観点からは望ましくない」と指摘。契約解除料をゼロにするか、必要最小限にすることが望ましいとしている。

 MNOは、携帯電話番号や端末の所在地などを管理するデータベース「HLR」(Home Location Register)、「HSS」(Home Subscriber Server)を管理している。これをMVNOにも解放すれば、MVNOが独自のSIMカードを発行できるようになるとし、「解放が望ましい」としている。

 また、端末メーカーやMNOが不当に高い価格で中古端末を下取りする場合も、独禁法上問題となるおそれがある(不当高価購入・取引妨害など)と指摘している。

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