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せりふを早く言わないと出演カット!? 樋口監督が語る「シン・ゴジラ」制作秘話 PS VRコラボも(2/2 ページ)

» 2016年08月04日 11時40分 公開
[山口恵祐ITmedia]
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ゴジラのデザイン

 「東宝としては、ゴジラのデザインとして守って頂かなくてはいけない最低限のルールはありますが、それ以外はすべてお任せしました。監督から『人が入る前提のデザインをやめませんか』という提案をいただいて、それはぜひと」(佐藤P)

 「1954年の1作目っぽいデザインにしたいという思いがありました。初代の造形は素晴らしかった。その後に何作も続いているが、それらは基本的に“怪獣と戦うデザイン”になっていった。ある意味人間的というか。東京をめちゃめちゃにするための形状は今回のゴジラが一番近いかなと思った。腕が小さいんですが、腕が大きいと人間っぽく見えてしまいます」(樋口監督)

「シン・ゴジラ」に登場するゴジラ。しっぽが長い

 「平成ゴジラシリーズのデザインはいったん忘れましょう、という意識がみんなの中にあった。そういった意味でも初代ゴジラは意識しました」(佐藤P)

樋口監督「本当は見る側にいたい」

 シン・ゴジラ公開後、樋口監督は知人から飲み会の誘いが頻繁に来るようになったという。実際は飲まずにひたすらゴジラを語ることが多いのだとか。

 「俺らは制作側だし、50回以上見ているし、お客さんが映画を見たもの同士で語るのとは少しニュアンスの違いは感じる。本当は見る側にいたかった。今日のイベントに来た人でまだ見ていない人はぜひ映画館へ。見た人は(会場は品川)港南口を左にいくと、ゴジラが進化を遂げた場所があるよね」(樋口監督)

 「実際に映画の舞台となった場所へ行ったお客さんもいる。われわれが目指してきたものを追体験してくれている人がいてありがたい。その場を感じてくださったというのがうれしい。伝わったんだって」(佐藤P)

シン・ゴジラのVRコンテンツについて

 東映とSIEJAが共同制作した「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」は、実際の映画用に制作された3DCGモデルを用いて、ゴジラ史上最大となる全長118.5メートルのフルCGゴジラをVR空間で体感できるというもの。

 VRコンテンツに携わったSIEJAの秋山賢成氏は、「東宝さんにPS VRを体験して頂く機会があり、『これはすごいぞ、これを使えばゴジラのコンテンツを拡張できるのは』という感想を頂けた。映画用の資料をお借りして作ったので、ディテールにもかなりこだわっている」と制作のきっかけを解説しながら自信を見せた。

VRデモコンテンツの1シーン。壊滅した都市に現れたゴジラ
こっちに近づいてくる……。内容はPS VR発売後のお楽しみ

 PS VRについて樋口監督は、「大人になるにつれてゲームからは離れてしまったが、久しぶりに欲しいと思えるものがきた。この前もAmazonで追加予約できず負け続けている。というわけで、今回のイベントでは大人の力でPS VRの入手に近づけるかもなんて(笑)。この企画をいただいたときに、以前体験したものに比べてHMDがすごく進化していると感じた。HMDって邪魔臭さがあるけどそれがなくなっている。眼鏡の上からの装着感もよくなっていて本当に欲しい。私は映画監督だけど、ゲームはエンドユーザーなので……欲しい。これはいいわ」と、とにかく「欲しい」を連発していたのが印象的だった。

photo PS VRでゴジラのデモコンテンツを初体験し、感嘆の声をあげていた樋口監督

 ユーザーが視点を動かせるという映画にはないVRの魅力について、樋口監督は脅威に感じているとも言う。「映画は“見せる”ものだが、VRは(ユーザーが)見たいものを見られる。これを同じコンテンツでやられたらどうなるだろう。お互いに相乗効果もあるだろうが、実際はライバルのように感じており、今回のコラボは挑戦的だなと。映画を作る上で重要なのは、どういったアングルでお客さんに見てもらうか。寄ったり引いたり、複数の絵を続けて見せたり、印象を変えていく手法は重要。VRはそれが全くない。映画のように見えて映画ではない」(樋口監督)

photo PS VRがとにかく欲しい樋口監督。無事予約できることを願う……

 「(VRコンテンツで)ゴジラの表現に関してこだわったところは、シリーズ最大のゴジラサイズ。ゴジラとの距離感、臨場感、足音などいろんな部分をこだわった。映像表現も、迫力を出すためにこのイベントの前日まで調整をしていた。ぜひ体験してほしい」(秋山氏)

 「ゴジラ最大級の118メートルを体験できる。映画だとフレームを動かさなくては入りきらないが、ユーザーが動いてサイズを体感できるのが魅力。今回はデモなので物足りないかもしれないが、これで映画を作ったらどうなるんだろうと思ってしまう」(佐藤P)

 シン・ゴジラは、公開から4日で71万人を動員し、シリーズ累計動員数も1億人を突破、興行収入も10億円を記録した。現在までに国内で計29作品が製作されている。

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