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2017年03月03日 09時34分 UPDATE

立ちどまるよふりむくよ:MS、ホログラフやめるってよ 誤用の原因「ホロデッキ」について調べてわかったこと (1/2)

HoloLensに代表される「ホログラフ」「ホログラム」という言葉の誤用について、その原因を探ってみたら興味深い事実に突き当たった。

[松尾公也,ITmedia]

 MicrosoftはGDC 2017で仮想世界への新しい取り組みについて発表したが、そこに重大な変更を滑り込ませた。同社の次期コンピューティングプラットフォームとして提唱していた「Windows Holographic」を「Windows Mixed Reality」と言い換えたのである。米テックメディアもこの変更には好意的で、「あれはホログラフィックじゃないもんね」とコメントしている

 彼らはちょっと意味不明な言い訳をしていたのだが、最終的にはわれわれホログラム警察が勝利したと言えるだろう。

 いまの世の中には偽ホログラム、偽ホログラフであふれている。ホログラム劇場と自称しているところがやっているのはホログラムではなくてペッパーズゴーストという視覚トリックを使ったものだし、MicrosoftのHoloLensでHolographic Computingと主張しているものはただの3Dイメージオーバーレイだ。半透明スクリーンのディラッドボードに初音ミクを投射したライブコンサートが米国で報道されたときに、彼らは一斉に「ホログラムシンガー」と言った。それも勘違い。

 でもなぜか、彼らは3Dっぽいものが現実世界と交わるときに「ホログラム」「ホログラフ」「ホログラフィ」「ホログラフィック」を使いたがる。

 本物のホログラムと偽ホログラムの違いについては、西田宗千佳さんがPC USERの記事『誤解だらけの「ホログラム」 それっぽい映像表現との違いは?』で解説してくれているので、詳しくはそこで読んでいただきたいのだが、光の干渉によって生成される科学的現象をホログラムといい、それ以外のものはホログラムではない、というのが正しい。

 間違いなんだけど、そうなった理由もわかる。

 スター・トレックのせいだ。

 正確には新スター・トレックのホロデッキ、ディープスペースナインのホロスイート、ボイジャーのホログラムドクターのせい。

 新スター・トレック「Star Trek: The Next Generation」(TNG)は初代TVシリーズ(TOS)の80年後に設定されたSF番組で、そこではホロデッキという未来技術が存在し、部屋の中を仮想空間にして現実と同じようなシミュレーションが行える。この作品以降のスタートレックシリーズでは、連載で取り上げた「It's Only A Paper Moon」のように、ホロデッキ(とその拡張であるホロスイート)の中だけでほぼ完結するエピソードも多い。

 ホロデッキが米国で登場したのは1987年。似たようなものはそれ以前のSF映画、例えばスター・ウォーズのR2-D2から飛び出たレイア姫の「助けてオビワン・ケノービ」なども多いが、ホロデッキのように繰り返し使われることはなかった。

 ホロデッキのせいで米国民は「ホログラムとはこういうものだ」と思わされてしまったのではないか。

 本物のホログラムを研究している人々にとってはすごく迷惑なことに違いない。

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