現実世界に3Dのオブジェクトを重ねて表示できる、複合現実ヘッドマウントディスプレイ(MR HMD)「Microsoft HoloLens」の国内投入が2017年初頭に決定し、12月2日に予約受け付けを開始すると日本マイクロソフトが発表した。
同社は、HoloLensを「世界初の自己完結型“ホログラフィック”コンピュータ」と表現する。そしてそれらを内包するプラットフォームを「Windows Holographic」と呼んでいるが、正しい定義に従えばHololensで使われている技術はホログラムではない――そんな指摘が一部から挙がっている(関連記事)。
なぜ米MicrosoftはこのデバイスにHoloLensと名付けたのか、そしてユーザーから指摘されている「視野角の狭さ」にどういった意図があるのか。来日した米Microsoft Windows & デバイスグループ ビジネス戦略担当ディレクターのベン・リードさんに話を聞いた。
「ホログラム」とは、物体を光の干渉により立体的に記録して実空間上に映像として浮かび上がらせる技術だ。もともとはギリシャ語で「全てを記録する」といった意味合いを持つ言葉から由来している。リードさんはHoloLensのネーミングについて次のように語る。
「もともと“ホログラフィック”という言葉は、ギリシャ語で『全体』と『描写する』という言葉から来ている。HoloLensは物体を“光で描く”(表示する)ということ、そして3Dで“全体的に見られる”ことから、『ホログラフィックコンピュータ』と表現し、HoloLensとネーミングした」(リードさん)
米国のテレビドラマ「スタートレック」に登場する未来技術「ホロデッキ」のように、数多くのSF作品には、実際に存在しないものをその場に出現させる――そんな技術がよく登場する。リードさんはHoloLensのような複合現実技術が出現するのはコンピュータが進化する次のステップとして自然な流れと主張する。
「私たちが住んでいる世界は3次元だ。(コンピュータのディスプレイを見つめるような)2次元の世界に縛られる必要はない」(リードさん)
国内では、既に日本航空(JAL)がHoloLensを使った業務アプリケーションをパイロットの訓練で活用するなど、昨今のコンシューマー製品で盛り上がる「バーチャルリアリティー」と(VR)は異なるMRの特性を生かした利用が徐々に始まりつつある。
そんな中で、既に利用したユーザーからは「HoloLensは視界上に3Dグラフィックを表示できる範囲が狭い」という指摘が挙げられている。VR HMDは没入感を向上させるために広い視野角を確保するのが課題となっているが、リードさんはこの件に関して「HoloLensの視野角は意図的なものである」と説明する。
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