昨年10月に埼玉県内の送電施設で火災が起き、東京都内で大規模停電が発生した――そんなトラブルをめぐり、東京電力は3月16日、発火原因が送電ケーブルからの漏電だったと結論付けた報告書を、経済産業省に提出したと発表した。東電は「極めてまれな事象」としながらも、再発防止策として点検方法を見直し、センサーなどの設置台数を増やすという。
停電は昨年10月12日午後3時30分ごろ発生。ピーク時には最大約37万戸、延べ約58万戸が停電し、一部の交通機関が運転を見合わせるなどの影響が出た。東電は、埼玉県の変電所と都内の変電所をつなぐ送電ケーブルが通る「洞道」で発生した火災が、停電につながったとして調査していた。
調査によれば、火災の原因は送電ケーブルからの漏電と推定されるという。送電ケーブルは、電流が流れる「導体」に油が染み込んだ「絶縁紙」を巻き付けた構造になっている。ケーブルを長く使用する間に、絶縁紙にヒビのようなものが入り、油に含まれる銅や硫黄などが染み出し、反応して化合物ができたために、そこから電流が外に漏れ出したと考えられるという。
こうした原因で漏電が起きた例は過去にはなく「極めてまれな事象」という。点検方法や頻度を見直すほか、漏電していないかをチェックするセンサーや自動消火設備をより多く設置するなど、再発防止に努めるとしている。
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