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ARをアニメで表現する難しさ――「劇場版ソードアート・オンライン」制作裏話、伊藤監督に聞く(4/5 ページ)

» 2017年04月18日 07時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

伊藤監督は「Pokemon GO」に「苦い思い出」

――ARといえば「Pokemon GO」がブームになったが、参考にしたところはあるのか。

伊藤監督: 映画の公開が「Pokemon GO」ブームと重なったことはタイミングがよかったです。スマートフォンの代わりに、オーグマーを装着して体を動かしていると思えば、ARゲームを想像しやすかったのではないかと思います。

 例えば、モンスターと戦うために、1カ所の公園や広場に大勢が集まってくる感じは、「Pokemon GO」がリリースされる前からストーリーに取り入れていました。「Pokemon GO」が流行った後、参考にした要素はあまりありません。ただ、風林火山のメンバーが高架下でアイテムを探している場面で、手元に地図を出しているのは、Pokemon GOの位置情報やGPS機能を参考に取り入れました。マップを表示して、アイテムの反応がある方向に近付いてゲットするという演出です。

――主人公たちがモンスターと戦った代々木公園などは、「Pokemon GO」の聖地ともいわれるが、意識してはいなかったのか。

伊藤監督: モンスターと戦う場所は、夜中に多人数が集まっても問題ないところを選んだので、「Pokemon GO」で人が集まった“聖地”を意識したわけではないです。六本木ヒルズのアリーナだけは「Ingress」(※)のイベントが開かれていたのを参考にしていますが。夜中にプレイヤーが集まって、モバイルバッテリーを付けて遊んでいる様子を実際に見ました。

(※)Ingress……「Pokemon GO」と同じく米Nianticが展開する位置情報ゲーム。実際のリアル世界を舞台に、2つの陣営に分かれて陣取りゲームを行う。

photo オーディナル・スケールでは、実際にモンスターが出現する場所にプレイヤーが集まって戦う

――伊藤監督はPokemon GOはプレイしているのか。

伊藤監督: 一応、プレイしてはいますが、そこまでのめり込んで遊んではいません。ARゲームはどういうものかを認識するために遊んでいるところがあります。強いて言えば、明治神宮でキリトが警備員から「オーグマーのゲームをやっていたのかい?」と話しかけられるシーンは、俺が明治神宮で「Pokemon GO」を遊んだときの経験が反映されています。プレイの際中に買ったばかりのiPhone SEを落とし、ガラスを割るという……。苦い思い出があったので、警備員の言葉が重くのしかかりますよね。

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