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» 2017年05月09日 07時00分 公開

「エンジニアに無理と怒られた」――熱烈“攻殻”ファンが思い込めた「1/8タチコマ」開発の舞台裏 (1/6)

アニメ「攻殻機動隊」の「タチコマ」を、Cerevoが1/8サイズで再現。音声認識機能を備えるなど、市販ロボットと比べると「やり過ぎた」という高機能な製品だ。そんなタチコマには、社内でも上位に入るほど“攻殻ファン”の開発者の思いが込められている。

[片渕陽平,ITmedia]

 「うちの社内では、アニメ好きの社員の中で“必修アニメ”がある。その1つが『攻殻機動隊 S.A.C.』。そんなアニメに登場する『タチコマ』を作ることになった。ただの玩具を作るだけなら、決まった言葉だけを覚えさせればいい。しかしアニメの中のタチコマなら、どんな言葉にも何かしら返答するはず。私たちは玩具ではなく、タチコマを作りたかった」

photo Cerevoが開発した「うごく、しゃべる、並列化する。1/8タチコマ」(c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会 (c)Cerevo.Inc

 そう話すのは、家電ベンチャーCerevoの海田裕二郎プロダクトマネージャー。海田さん率いる6人のプロジェクトチームは、約1年半の歳月をかけ、アニメ「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズに登場する4足歩行ロボット「タチコマ」を約8分の1のサイズで再現した(関連記事)。

 製品名は「うごく、しゃべる、並列化する。1/8タチコマ」。音声認識機能を備え、ユーザーが話す言葉を理解。合成音声機能も搭載し、劇中と同じく声優・玉川砂記子さんの声で返答する。

 4本脚の下部には車輪を備え、スマートフォン向け専用アプリ(iOS/Android)で遠隔操作して動かせる。脚部や物をつかむ腕(マニピュレータ)などには合計21個のモータを搭載し、電動駆動する。

 価格は15万7400円(税込)。「高額なだけに全く売れないのではないかと不安だったが、予約販売が始まって約1カ月、想定以上のペースで売れている」(同社)という。ユーザーの心をつかんだ1/8タチコマは、どのようにして作られたのか。海田さんに開発の舞台裏、1/8タチコマに込めた思いを聞いた。

「モーターをあと4個」 エンジニアに「無理」と怒られる

photo 海田裕二郎プロダクトマネージャー

 開発のきっかけは、攻殻機動隊シリーズの製作委員会などが参加する「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」からCerevoに声が掛かったことだった。同プロジェクトは、劇中に描かれているロボットや人工知能(AI)などの技術を、大学や企業が共同で研究・実現させるというものだ。

 Cerevoは、2016年2月には別のアニメ「PSYCHO-PASS」に登場する「ドミネーター」を発売している。PSYCHO-PASSと攻殻機動隊は、アニメ制作会社が同じProduction I.Gということもあり、「今度はタチコマを再現できないか」という話になった。

 「近未来の世界を示唆する攻殻機動隊は、アニメ好きの社員の中で“必修アニメ”という認識がある。私自身、社内でも上位に入る攻殻機動隊のファンで、ハリウッド実写版『GHOST IN THE SHELL』(17年4月7日に日本公開)も公開初日の朝一で見に行ったほど。それで白羽の矢が立ち、プロジェクトリーダーになった」(海田さん)

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