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GoogleとFacebook、詐欺メールに100億円以上を振り込んでいた

» 2017年05月02日 16時35分 公開
[大村奈都ITmedia]

 世界的なネット企業2社が、取引先を装った詐欺メールの被害に遭っていたことが分かって話題になっているが、その2社とはGoogleとFacebookであることが米Fortuneの取材で明らかになった。

 近年、取引先企業や経営者の名前を装って企業の財務担当者にメールを送り付け、ダミーの銀行口座に多額の送金をさせる詐欺(標的型攻撃)が世界中で多発している。最近ではバービー人形で知られる玩具メーカーの米Mattelが、300万ドルの被害に遭う寸前だったことが報じられた。しかし今回は、Mattelのような一般企業ではなく世界最先端のIT企業2社が、より多額の被害に遭ったことで注目が集まっている。

 米司法省によると、両者を狙ったのはリトアニア国籍のEvaldas Rimasauskasという人物。GoogleとFacebookの財務担当者のメールアドレス、取引先企業の請求書フォーマットなどを詳細に調べ上げ、2013年から2015年にかけて数千万ドルを繰り返し請求。合計1億ドル(約112億円)以上を送金させたという。

photo 米司法省のプレスリリース

 この人物が逮捕されたとき、被害企業や社名を悪用された取引先企業の名は明かされず、被害2社は「インターネット関連のサービスと製品に特化した多国籍企業」「SNSを提供する多国籍企業」、取引先企業は「アジアのコンピュータ関連メーカー」といったことしか分かっていなかった。しかし、台湾Quanta Computerが取引先として社名を悪用されたと宣言。これに続き、被害に遭った企業2社をFortuneが突き止めたのだ。

 GoogleとFacebookはFortuneの取材に対し、詐欺メールに引っかかった事実を認めている。取材を受けるまで公表しなかった理由はいずれも「送金額の大半はすでに回収され、被害は少ない」「1億ドルは自社の経営に影響を与える金額ではない」からだという。

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