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準天頂衛星「みちびき」打ち上げ成功 「米国GPSに依存しないシステムを」

» 2017年06月01日 12時27分 公開
[ITmedia]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は6月1日、準天頂衛星「みちびき」2号機を搭載したH-IIAロケット34号機の打ち上げに成功した。午前9時17分に種子島宇宙センターから打ち上げ、その約28分後に衛星を正常に分離した。

photo 打ち上げ時の様子(JAXAのライブ中継より)

 みちびきは、日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を周回する衛星。米国のGPS(Global Positioning System)信号と互換性のある信号を送信し、山間部や都心部の高層ビル街などでも安定して位置情報を取得できるようにする。

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 打ち上げ済みの初号機、今回打ち上げた2号機、年内打ち上げ予定の3、4号機の合計4機体制で運用する考え。これまでGPSは最大数十メートル程度の誤差があったが、みちびきはGPS衛星の信号と補完し合うことで、誤差1メートルから数センチ程度に測位精度を高めるという。

 打ち上げ後の記者会見で、内閣府の鶴保庸介特命担当大臣は「日本では、防災やスポーツなど、さまざまなサービス、ビジネスが生まれるチャンスが大いにある。その基礎的なインフラとして、測位精度の向上が必要」と説明する。自動運転や農業機械の運用に加え、「アイデアを募集し、新たなイノベーションにつなげている段階」という。

 「(今回の打ち上げ成功は)これから作り上げるスタートラインに立ったという認識」と鶴保大臣は話す。「国民のニーズに応え、安定したサービスを提供するには、米国のGPSに依存しないシステムを作る必要がある。機械の話なので、突然何らかのトラブルが起きる可能性は排除できない。自前のものを持ちたい」(鶴保大臣)

 みちびきを載せたH-IIAロケットの打ち上げは、今回で28回連続の成功。成功率は97%超だ。三菱重工業 防衛・宇宙ドメインの阿部直彦宇宙事業部長は「いかに連続して打ち上げるかは、大変なことだと認識している」「1機1機の実績は、次世代のH3ロケットにつながると考え、打ち上げ事業の国際競争力の確保に生かしたい」と話している。

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