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PasocomMini MZ-80Cが発売前にアップグレード PCG標準搭載で精緻なグラフィックスが可能に立ちどまるよふりむくよ

» 2017年07月03日 17時33分 公開
[松尾公也ITmedia]

 オリジナルの4分の1サイズでラズパイを内蔵し、エミュレーションで動くMZ-80C「PasocomMini MZ-80C」。既に予約が開始されており、筆者もオーダーしたのだが、吉報が届いた。PCGが標準搭載されることが決まったのだ。

 シャープの8ビットパソコンMZ-80K/Cシリーズは、初期型8ビットパソコンの名機と言われているが、ユーザーにとっては1つだけどうしてもライバルのPC-8001などにかなわないものがあった。それはグラフィックス機能である。

 40文字×25行の文字と絵文字を組み合わせて全てを表現するという苦肉の策で乗り切ったアプリばかりで、アーケードゲームから移植したゲームなどは、プレーヤーが想像力を働かせなければならなかった。

 「セミグラフィックス」という簡易描画機能もあったが、それでも文字を4分割した四角を組み合わせた、80×50「ピクセル」という、アイコンにも劣るものであった。

 この状況を救ってくれたのが、当時のHAL研究所、つまり、PasocomMini MZ-80Cを開発しているハル研究所だったのだ。その装置は、PCG(Programmable Character Generator)と呼ばれ、ユーザーの羨望の的だった。

 128文字を再定義し、それをゲーム中のキャラクターなどに当てはめることでオリジナルに近い画像を再現するという機能を持つ製品で、当時の価格で4万4800円。MZ-80K2Eを持っていた筆者も高くて手が出なかった。

 せっかくハル研がMZ-80Cを出すのだからと期待は大きかったが「当時の社員はもうおらず、倉庫に資料も見つからなかった」との説明に「なら仕方ないなあ」といったんは納得していたのだが、ハードウェアはどこかにあるだろうからなんとかならんかなあ、と思っていた。

 ミニMZ-80C予約者に送られたメールによれば、同梱ソフトの「平安京エイリアン」もPCG版となる。回路図など資料は見つかったのだろうか? PC-8001版のPasocomMiniにはHAL研製PCGを載せると言っていたので、そこからの技術流用が可能だったのだろうか。

 筆者は待ちきれないのと、ミニ版にはシャープ製BASICであるSP-5030が付属しないということがあり、ヤフオクでMZ-80K2とSP-5030を別個に落札してしまっていた。筆者の最初のコンピュータはMZ-80K2Eなので、その前身に当たるマシンだ。

 その後で、「ああ、これならひょっとしてミニMZ-80Cを買う意味もなくなったのでは?」との疑念が生まれたのだが、PCGも付属するということで、これもまた意義あることとなった。

photo この実機をいじりながらミニチュア版の到着を待つ(初出のSP-5030の型番を見せるための写真はカセットを差し込む向きが逆との指摘があったため、今後MZ-80K2にカセットを挿入する人がこれを参考にして間違うことのないよう、別の写真に入れ替えました)

 図書館で閲覧した月刊マイコンのバックナンバーからプログラムリストを入力しながら、製品版を待つことにしよう。

 ミニMZ-80Cはまだ予約を受け付けている。予約サイトには、すがやみつる先生のマンガも掲載。

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