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マイナンバーカードが診察券の代わりに 総務省が検討

» 2017年07月31日 10時29分 公開
[ITmedia]

 マイナンバーカードの普及を促すため、診療所の受付で診察券の代わりに使えるサービスを総務省が検討し、このほど実証実験を行った。ユーザーが診療所ごとに持っている複数の診察券を、1枚のマイナンバーカードに集約することで利便性を高める狙い。

photo 診療所の受付で診察券の代わりにマイナンバーカードを使う(総務省の資料より)

 2017年6月に群馬県前橋市の診療所で実証実験を実施。受診者が受付の端末にマイナンバーカードをかざすと、クラウドから診察券番号、氏名などのデータを呼び出し、受付スタッフが本人確認できる。クラウドの管理などは、ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構が担当した。

 本人確認には、公的個人認証サービス(JPKI)を使う。JPKIは、ネット上での手続きなどで、マイナンバーカードに記録されている電子証明書を使い、ユーザー本人かどうかを確認する仕組み。マイナンバー(個人番号)そのものは利用しない。

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 総務省は、サービスの維持にかかるコストの評価、ビジネスモデルの検討などを行い、最終的には民間サービスとして自走させるとしている。連携する診療所、病院の数を増やし、1枚のマイナンバーカードで複数の診察券を代替できるようにするという。

 一方、厚生労働省などは、マイナンバーカードを健康保険証としても利用できるサービスを18年度から段階的に始めるとしている。

マイナンバーカードの普及、“多機能化”が鍵?

 総務省によれば、マイナンバーカードの交付枚数は約1147万枚、人口に対する交付率は約9.0%(17年5月15日時点)。さらなる普及には、マイナンバーカードの多機能化が鍵になりそうだ。

 すでにマイナンバーカードを使い、コンビニで住民票の写し、印鑑登録証明書などを取得できるサービスが始まっているが、「そうした証明書を取る機会はそう多くないので、さらにマイナンバーカードを使える場面を増やしていく必要がある」(総務省情報通信政策課)。

 17年秋ごろに本格スタートする、自分のマイナンバーに関連するさまざまな情報を管理できる「マイナポータル」のログイン時に、マイナンバーカードを使うようにして利用を促す。これに加え、診察券や健康保険証としての利用、チケット高額転売を防ぐシステムへの活用など、民間サービスでの利用機会を増やす考えだ。「マイナポータルの運用開始は普及の試金石。さらに機能を増やし、普及に拍車を掛ける。マイナンバーカードは便利だと思ってもらいたい」(同課)

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