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初音ミクの「ボカロキーボード」を弾いてわかった これはヤマハ「ショルキー」の復活だ立ちどまるよふりむくよ(2/3 ページ)

» 2017年09月02日 22時58分 公開
[松尾公也ITmedia]

ヤマハ、ショルダーキーボードの歴史

 ではヤマハはどのようにショルダーキーボードに取り組んできたか。

 源流を探るとすれば、CS01だろう。レゾナンスが2段階しかないなど省略した部分はあるが、非常にクリーンな音を出せるモノフォニックの1982年発売のアナログシンセサイザーで、当時3万2000円。ピッチとビブラートのホイールを備え、別売のブレスコントローラを使えば管楽器のようなニュアンスまで出せた。専用のストラップを使い、ショルダーシンセにもできた。35年前にショルダーキーボードの原点はあったのだ。

photo 1982年当時の筆者がCS01にギターのネックをつけて演奏しているところ

 その後、DX7とともにMIDI時代がやってきて、ショルダーキーボードはMIDIインタフェースを備えたMIDIコントローラーとしての役割が求められるようになる。ヤマハは1983年のKX1、1984年のKX5などのモデルをリリースし、中でも人気の高かったKX5は1999年まで販売を続けられるベストセラーとなった。

 さらにコンシューマーを狙った商品も出された。

 ショルダーキーボードをショルキーと略することがあるが、これはヤマハの商品名であり、実際にその名で1987年に2万3800円で売られた製品「SHS-10」は大ヒットした。

 シルバー、ブラック、レッドのカラーモデルがあるFM音源を使ったミニ鍵盤のポリフォニックシンセサイザーで、MIDI OUTの機能もある。

photo ショルキーを弾く筆者の妻(1990年)

 そんな初代ショルキーの魂とVOCALOIDの魂を悪魔合体させたような製品、それが「ボーカロイドキーボード VKB-100」なのである。しかし、ショルダーキーボードの系譜は、実はヤマハにおいては途絶えているのだ。

 そんなボーカロイドキーボードにいち早く触れるというので、マジカルミライ2017に行ってきた。そのヤマハブースには同じく8月31日に発表されたMobile VOCALOID Editorの初音ミク版と、ボーカロイドキーボードがデモされている。

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