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配車アプリ「全国タクシー」のJapanTaxi、1.1億円の赤字「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2017年09月11日 15時25分 公開
[NOKIZALITmedia]

(編集部注)本記事は、執筆時に公開されていた決算公告に基づいたものです。

 JapanTaxi(東京都千代田区)が9月11日、官報に掲載した2017年5月期(16年6月〜17年5月)決算公告によれば、当期純損失は1億1600万円の赤字、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は1860万円の赤字だった。

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 JapanTaxiは1977年設立。日本最大手のハイヤー・タクシー会社である日本交通のシステムを担うグループ会社、日交データサービスとして誕生した。転機は2011年、日本交通が開発したタクシー配車用アプリ「日本交通タクシー配車」がヒット。続いて全国のタクシー会社と連携して配車する「全国タクシー」がさらに大ヒットした。

 全国タクシーは現在、ダウンロード数が300万強、配車可能数は5万台弱(全国のタクシーの約20%強相当)にまで成長。17年6月には未来創生ファンドから5億円の資金調達を実施しており、20年にはダウンロード数1100万、配車可能数12万台を目指す。

 Googleマップからのタクシー配車連携を始めるなど「配車」機能の拡大に加え、乗車中に支払いを済ませられる「決済」機能、乗車時にデジタルサイネージ広告を配信する「広告」機能にも取り組むなど、タクシー事業のイノベーションにも挑戦している。

ここがポイント

 現在、タクシー業界全体で見れば厳しい状況です。バブル期には30億人を超えていた利用者も、15年には半分以下の約14億人にまで減少(国土交通省調べ)。その間ライバルである公共交通機関の利便性は増し、タクシードライバーの高齢化も進んでいます。

 これに対し、最近ではシェアリングエコノミーAI(人工知能)マッチング無人運転など、新しい技術や考え方でタクシーの在り方を再定義しようとする動きが活発です。そんな中、JapanTaxi(日本交通)も新たなビジネスモデルの構築に積極的です。

 タクシー代を乗る前に決定する料金適正化実験や妊婦へのスムーズな配車を提供する「陣痛タクシー」、高齢者や子供の見守りサービスへのタクシーの活用といった取り組みも。同社の社是である「徳を残そう」という活動に精力的に取り組んでいるようです。

 果たして、日本交通が、時代の流れに飲み込まれていくのか、これを機に社会インフラと呼ばれる存在にまで進化するのか、あらためて注目です。余談ですが、日本交通の川鍋一朗会長(兼JapanTaxi社長)の奥さんは中曽根元首相のお孫さんです。

JapanTaxiの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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