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精度は99%以上、手書き文字認識「Tegaki」開発ベンチャーの決算「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2017年10月16日 14時54分 公開
[NOKIZALITmedia]

(編集部注)本記事は、執筆時に公開されていた決算公告に基づいたものです。

 人工知能(AI)関連サービスを手掛けるCogent Labs(東京都渋谷区)が10月16日、官報に掲載した2017年3月31日現在の決算公告によれば、当期純損失は7800万円の赤字、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は1億6000万円の赤字だった。

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 Cogent Labsは15年設立。99%以上の精度という手書き文字の認識(OCR)サービス「Tegaki」などを研究・開発するベンチャー企業だ。米Bloombergが16年に発表した「The Current State of Machine Intelligence 3.0」という機械学習関連企業の業界地図では、数少ない日本企業として取り上げられた。17年2月にはSBIインベストメントトッパン・フォームズを引受先とした総額13億円の資金調達を行っている。

photo 99%以上の精度という手書き文字の認識サービス「Tegaki」。読み取る前(右)と読み取り後(左)

ここがポイント

 看板サービスの「Tegaki」は、従来70%程度だったOCRの認識精度を99%以上に高めたといいます。その独自アルゴリズムは、機械学習分野だけでなく天体物理学や量子物理学など、社内のさまざまな研究者のアプローチによって実現しているそうです。

photo Tegakiを試してみた(詳細記事

 同社の面白いところは、人材と資金をまずは日本語手書き文字の認識に投入している点。最近のAIブームでは、下手すると“SF的”になりがちな一足飛びの議論やサービス案が飛び交いがちの中、ある種“地味な分野”への挑戦です。

 AIに関するビジネスは「結局何ができるのか」に加え、「どうやってもうけるのか」も詰めていく必要があります。その点、Tegakiは地に足の着いた感じはありますし、直近3年間の累積赤字も1.6億円と、扱うテーマの割にはそこまで大きく膨らんでいる印象も受けません。

 代表の飯沼純氏とエリック・ホワイトウェイ氏は、それぞれ米Salesforce.comとモルガン・スタンレーMUFG証券の出身。もちろん技術に関する知見はあるにしろ、生粋の研究者出身ではなさそうなので、その点も影響しているのかもしれません。

 今後、Cogent Labsがどのような形でAIの技術的な可能性と、ビジネス的な可能性の両面を追求していくのか、注目したいと思います。

Cogent Labsの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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