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» 2017年11月23日 09時00分 公開

“日本が知らない”海外のIT:「定額制サービス」普及のカギは? 米国で広まるデータ・AI活用 (1/2)

米国では「サブスクリプションボックス」と呼ばれる定額制サービスが好調だ。定額制サービスを定着させるカギは「パーソナライズ」だという。

[行武温,ITmedia]

 お菓子やコーヒーから、化粧品、DIY用品まで、米国にはさまざまな商品の「サブスクリプション(定額制)ボックス」が存在する。

 サブスクリプションボックスとは、あるテーマに沿った商品が詰まった箱のことを指し、その箱がユーザーのもとへ定期的に送られてくる。中身があらかじめ決まっているもの(例:Dollar Shave Clubのカミソリ)もあれば、テーマだけが決まっていて何が入っているかは毎回のお楽しみ(例:Birchboxの化粧品)というものもある。

連載:“日本が知らない”海外のIT

日本にまだ上陸していない、IT関連サービス・製品を紹介する連載。国外を拠点に活動するライター陣が、日本にいるだけでは気付かない海外のIT事情をお届けする。


 梱包材の製造販売を行っているShorr Packagingが行った調査では、2016年の時点で米国には2000種類以上のサブスクリプションボックスが存在し、サブスクリプションボックス企業のWebサイトのビジター数は、13年の72.2万人から16年には2140万人へ30倍近く増加したとされている。

 例えば、ファッション系サブスクリプションボックスを販売しているStitch Fixは、16年度の売上が10億ドル近くにまで達したと言われており、設立から6年がたった現在、IPO(株式公開)の準備を進めている。

 そしてこのほど、スポーツウェア大手のUnder Armourもこの波に乗り、同社初のサブスクリプションサービス「Armour Box」をローンチした。

スポーツ 「Armour Box」(Under ArmourのWebサイトより)

基本無料 「Armour Box」の戦略

 Armour Boxのサービス内容は、ユーザーのプロフィール(興味のあるスポーツ、スタイル上の好みなど)をもとに同社公認のスタイリストが選んだアイテム4〜6点が、定期的にユーザーのもとに送られてくるというもの。

 基本利用料は無料で、ボックスを受け取る頻度は1カ月、2カ月、3カ月の3種類から選べる。ユーザーは商品が届いてから1週間以内に購入したいものだけを選んで、それ以外を返送し、選んだ商品分の料金だけが後ほどチャージされるという仕組みだ。

 全商品を購入する場合は20%の特別割引が適用されるほか、1度購入すると決めた商品であっても、一定期間内であればサイズ違いや色違いのものと交換できるようになっているなど、アフターケアも手厚い。

スポーツ Armour Boxのサンプル(Under ArmourのWebサイトより)

 同サービスの目玉は、AI(人工知能)を活用した商品のパーソナライゼーションだ。先述の通り、サービス利用開始時点ではユーザーがあらかじめ入力したプロフィールをもとに、「Official Outfitter」と呼ばれる「人間」のスタイリストが商品を選ぶ。

 しかし時間がたつにつれ、購入・返却商品の情報が蓄積していくため、スタイリストが商品を選ぶ前に、AIがユーザーの好みに合った商品候補を提案できるようになるのだ。

 さらに複数のアプリや商品からなる「Connected Fitness」シリーズのユーザーであれば、運動の頻度や強度といった情報もUnder Armourのデータベースに記録されるため、エクササイズの状況やトレーニングの内容に応じてArmour Boxの商品が変わってくる。

 例えば、ランニングがテーマだとしても、毎月300キロ近く走るような市民ランナーと100キロ未満のジョガーではウェアに対するニーズが異なってくるのは想像に難くないだろう。

サブスクリプション界で広まる、データ・AIの活用

 消費者にとって、サブスクリプションサービスの利点とは何だろうか。

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