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萌えキャラ生成AI、学習データを“ネットの海”からゲッチュするのはアリか?「STORIA法律事務所」ブログ(4/5 ページ)

» 2017年11月28日 08時00分 公開
[柿沼太一ITmedia]

生成されたモデルで自動作成した萌えキャラ画像については誰が権利を有するのか

AI著作物は誰が権利を有するのか

 これは「AI著作物について誰が権利を持つか」という問題です。この点については、「AI著作物の創作に人間がどう関与しているかによって結論が変わる」ということになります。

具体的には以下の通りとなります。

  • 人間の「創作意図」+「創作的寄与」がある場合

AIを「道具」として利用した人間の創作物であり、当該人間が創作した著作物となる。

  • 人間の寄与が、「創作的寄与」が認められないような簡単な指示にとどまる場合

当該AI生成物は、AIが自律的に生成した「AI創作物」であると整理され、現行の著作権法上は著作物と認められず、誰も権利を保有しない。

 具体的なイメージは下記の通りとなります。

  • 人間の「創作意図」+「創作的寄与」がある場合
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  • 人間の寄与が、「創作的寄与」が認められないような簡単な指示にとどまる場合
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 詳細は知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会新たな情報財検討委員会による「新たな情報財検討委員会報告書」(平成29年3月)P35〜36をご参照ください。

 以上を簡単にまとめると、人間の「創作意図」「創作的寄与」の有無によって結論が変わるということになります。しかし、これは基準としては分かりやすいですが、具体的にどのような場合に「創作的寄与」があるかはよく分かりません。

 MakeGirls.moeで考えてみましょう。このサービスは「Options」として「Hair Color」「Hair Style」「Eye Color」「Blush」「Smile」「Noise」「Open Mouth」「Hat」「Noise」「Ribbon」「Glasses」「Noise Import/Export」の11種類について「Off」「Random」「On」などを選べるようになっています(「Expert Mode」ではもっと微調整可能)。

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 これを前提とするとOptionsとしては、単純計算でも27万通りくらいの組み合わせがありますので、どのOptionsを選ぶのかという点については、選んだ人の「創作的寄与」はあると考えても良いような気がします。また、大量の萌え画像を生成し、その中から気に入った画像を選別するという行為をした場合には、その選択行為に「創作的寄与」があると考えてもよいかもしれません。

photo 筆者が生成した萌えキャラ

 ということで、一応MakeGirls.moeについては、サービスを利用した人に「創作的寄与」ありとして、生成された萌え画像はサービス利用者が著作権を持つ著作物ということになるのではないかと思います(ちなみにこのブログ記事のアイキャッチ画像は、私がこのサービスを利用して生成した萌えキャラです)。

 ただ、そうすると、このサービスを利用して大量の萌え画像を生成した利用者がいた場合、それら全ての萌え画像について当該利用者が著作権を持つということになってしまうため、本当にそれで良いのかというのは非常に難しい問題です。その点については私も迷っているところでして、結論は出ていません。

 ちなみに、MakeGirls.moeのライセンス条件をみると「The web interface is under the GPLv3 license.」「Model training scripts are under the MIT license. (Available Soon)」としか記載されていないので、サービスを利用して生成された萌えキャラの著作権がサービス提供者に帰属するということにはなっていないようです。

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