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» 2017年11月28日 07時00分 公開

「NOKIZAL」決算ピックアップ:スマートロック普及の“鍵”は何か 「Akerun」開発元の決算

日本全国の企業情報を取り扱うアプリ「NOKIZAL」の“中の人”が、気になる企業業績をピックアップしてご紹介します。

[NOKIZAL,ITmedia]

 スマートロック「Akerun」を提供するフォトシンス(東京都品川区)が11月27日、官報に掲載した決算公告(2016年12月31日現在)によれば、当期純損失は1億9100万円の赤字、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は4億200万円の赤字だった。

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 フォトシンスは14年設立。15年3月から、ドアの内側にある錠前に取り付けると、スマートフォンやICカード、Web経由で鍵を開け閉めできるスマートロック「Akerun」を開発、販売している。

 スマートロックの特徴は、鍵の持ち歩きが不要になること、オートロックが可能になる点に加え、渡したい相手に時間限定で鍵を発行したり、施錠履歴が記録できたりすること。立ち合い不要の不動産物件内覧や、貸し会議室や民泊での限定使用鍵の発行、従業員の勤怠管理、子どもや高齢者の見守りサービスなどへの応用が期待されている。

photo フォトシンスの公式サイトより

 同社は、15年9月にジャフコガイアックスなどから4.5億円を調達。主な競合サービスは、ソニーWiLが合弁で設立したQrio」(現在はソニーの完全子会社)の「Qrio SmartLock」や、不動産テックベンチャー「ライナフ」の「NinjaLock」などがある。

ここがポイント

 今回の決算公告では、当期純損失1.9億円と累積赤字4億円を計上しているフォトシンスですが、流動資産3.8億円に対して流動負債は7800万円なので当面の資金繰りは問題なさそうです。

 ただ、スマートロック自体が一般家庭向けに普及する段階かというと疑問も。例えば、スマートホームや最近上陸してきた音声アシスタントなどがスマホ並みのエコシステムを急速に構築すれば可能性はありますが、一方で他社に先駆けて南京錠型を販売していた電通ブルーが1年半でサービス終了。現実を見ると、法人向けにどれだけ早く、スマートロックならではの付加価値を提供できるかがポイントになりそうです。

 フォトシンスは16年7月に、オフィスや民泊物件での利用を主眼に置いた「Akerun Pro」を本体無料・月額9500円のレンタルプランのみで投入し、販売目標は3年間で1万台としていました。達成すれば、単純計算で9500円×1万台×12カ月で売上10億円のビジネスになるわけですが、17年11月24日現在、キャンペーンサイトを見ると導入した法人数は2000社超となっています。

 1社あたりの導入台数も継続率も分からないので何とも言えませんが、17年12月から50%値上げと記載されているので、普及段階での値上げは、想定よりも少し苦しい展開である可能性もあります。とはいえ、スマートロックという考え方は、紀元前2000年ごろには存在していたという“鍵”の概念に挑戦する壮大な一面もあり、そこに現代のIoTベンチャーがどういった解を求めていくのか、期待したいですね。

フォトシンスの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《サービス紹介》

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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