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» 2018年01月29日 13時00分 公開

「NOKIZAL」決算ピックアップ:グルメ情報サービス「Retty」売上倍増も、3強の背中はまだまだ遠く

日本全国の企業情報を取り扱うアプリ「NOKIZAL」の“中の人”が、気になる企業業績をピックアップしてご紹介します。

[NOKIZAL,ITmedia]

 実名制の飲食店口コミサービスを運営するRetty(東京都港区)が1月26日、官報に掲載した2017年9月期(16年10月〜17年9月)決算公告によれば、売上高は12億6800万円(前年同期は5億4000万円)、経常損失は3億9200万円の赤字(同5億9300万円の赤字)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は4億2700万円の赤字(同13億5400万円の赤字)だった。

 同社は17年2月に資本金11億7100万円と資本準備金1億8300万円の減資を実施している。

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 Rettyの設立は2010年。実名制では日本最大のグルメ情報共有サービス「Retty」を運営している。Rettyの特徴は、実名制を生かして友人や食に詳しいユーザーがおすすめする店舗を検索できる点で、17年5月には月間利用者が3000万人を超えたと発表している。

photo Rettyの公式サイトより

 資金調達面では、11年にサイバーエージェント・ベンチャーズ他から2200万円を調達したのを皮切りに、12年にグリーベンチャーズ他から1億円、13年に伊藤忠テクノロジーベンチャーズ他から3.3億円、15年にみずほキャピタル他から10億円、16年にWiL他から11億円を調達しており、累計25億円を超えている。

ここがポイント

 今回の決算では売上高が12.6億円と、前年の5.4億円から倍増しているRetty。月間利用者数も15年ごろからは毎月100万人前後のペースで伸びており、17年5月時点で3000万人に到達しています。赤字額は今年も3.9億円を計上していますが、流動資産は流動負債を大きく上回っており、調達した25億円で引き続き、利用者獲得、マネタイズとも積極的に攻めているようです。

主要グルメサービス3強とRettyの各データを比較

 こうなると気になるのは、既存グルメサービス大手の「食べログ」や「ぐるなび」、「ホットペッパーグルメ」(リクルートライフスタイル運営)との現在の“距離感”。15年にはRettyが“東京の口コミ投稿数No.1”で「食べログ」超えを主張し、食べログを運営するカカクコムが「基準が違う」と反論するという騒動がありました。そこで今回は、現状の各社の数字を簡単にまとめてみます。

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利用者数

 利用者数は、アプリとスマホ向けWebサイト、PC向けWebサイトの利用者の重複カウントなど、各社の定義や計測の仕方によっても変わってくるので、一概には判断しづらいところですが、今回まとめた数字から判断すると、やはり食べログが圧倒的といえそうです。Rettyがぐるなび、ホットペッパーグルメに追い付くには、もう少し時間がかかりそうですね。

売上高

 売上高は、ホットペッパーグルメとぐるなびが2強。両社とも、従来の店舗販促支援に加え、「予約台帳」「決済」「POSレジ」「物販EC」といった販促後の店舗サポートにも力を入れ始めています。予約台帳などは、スタートアップのトレタなどが奮闘していますが、既に取引のあるホットペッパーグルメとぐるなびがこの分野を垂直統合していくのは“範囲の経済”という点では合理的な戦略です。

 また、垂直統合されるとスイッチングコストは更に大きくなり、総じてITリテラシーが高いとはいえない飲食業界で、Rettyが後から覆す際、仮に販促面で多少のアドバンテージを取っても、それだけではシェア拡大が難しくなる可能性もありそうです。

利益面

 利益面を見ると、確定数字ではぐるなびが47億円で首位ですが、上場企業として驚異の利益率50%を誇るカカクコムにあって、売上高を186億円まで伸ばしている食べログが上回っている可能性もあるのではないかと思います。

 単純な店舗販促での売り上げだと、食べログは、まだまだぐるなびやホットペッパーグルメには及びませんが、両社との事業構造の違いとして、170万人を超える個人向けの利用者課金があり、売上高も35億円となっています。当然、この利益率は相当高いので、併せると利益額ではぐるなびやホットペッパーグルメと並ぶレベルか上回るレベルに達していそうです。

総括

 こうして見ていくと意外なことに、この分野はさすがに急成長とはいきませんが、総じてまだ伸びているといえそうです。

 例えば、地方では食べログで店舗を探しても、検索結果のほとんどはチェーン店というケースはあります。複数のグルメサイトを使い分けしている人もおり、「ネット検索から食べログで点数が高い店の当たりを付ける」→「実際に店舗のWebサイトに行くとぐるなびページでクーポンが使えた」というようなことは、東京でも見かける光景ではないでしょうか。

 先行する3強も新規店舗獲得という点でガンガン伸びることはなさそうですが、上記で触れた通り、飲食業のITインフラ化を進めるという点では、まだまだ伸ばせる余地はあり、目につく利用者数の遷移のみで“オワコン”化するというのは考えにくそうです。

 現在、Rettyは「Retty2020 1億人構想」という中期目標のもと、(1)グルメサービス国内1位、(2)訪日外国人満足度1位、(3)海外20カ国へのサービス展開を掲げています。サービス規模のみならず、ビジネス規模でも3強に食い込む存在になっていけるでしょうか。大規模なインバウンド需要が見込まれる2020年に向け、この分野の競争も激しさを増していきそうです。

Rettyの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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