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» 2018年02月27日 17時21分 公開

NEC、“聴こえない音”で個人を識別する「耳音響認証技術」開発

人間の耳には聴こえない音で個人を認証する技術をNECなどが開発。イヤフォンから高周波音を耳穴に送出し、その反射音を分析して個人の特徴を抽出する。

[ITmedia]

 NECは2月27日、人間の耳には聴こえない音で個人を認証する技術を、長岡工業高等専門学校と協力して開発したと発表した。耳に装着したイヤフォンから耳穴に高周波音を送出し、その反射音を分析して個人の特徴を抽出する技術。無音のためユーザーの行動を妨げず、常時認証が可能という。2018年の実用化を目指す。

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 イヤフォンを使った「耳音響認証」は、ハンズフリーで継続的に認証できるため、最初の認証の後に人がすり替わるといったことが防止できる。だが従来の技術では、人間の耳に聞こえる可聴音が出てしまうため、作業や思考の妨げになったり、周囲の音が聞き取れないなどの課題があった。

 新技術は、人間の耳では聞こえない高周波(18〜48kHz)の音を外耳道に送出し、その反射音(30kHz〜40kHz)を分析して個人の特徴を抽出するもの。反射音としてとらえた30kHz〜40kHzの周波数帯は個人差が現れやすく、個人に特有の特徴を抽出できるという。ただ、周囲の電気機器やイヤフォン自体が発する高周波ノイズの影響を受けやすく、外耳道の内壁に当たっても反射せず壁面に吸収されやすい性質があるため、取得は難しかった。

 そこで、非可聴音を反復的に送出して特徴抽出を複数回行い、それらを平均することによりノイズを低減し、本来の反射音を強調する「短時間同期加算法」と、隣接する周波数をまとめた上で音響特性を平滑化することで、ノイズの影響をさらに低減する「対数フィルタバンク法」を開発。さらに、イヤフォンに内蔵したマイクやスピーカーの形状や配置、構造などを工夫することで、高周波の反射音を効率的に取得できるようにした。

画像 主な動物の可聴域。新技術はヒトの可聴域より高い18〜48kHzの非可聴音を使用している
画像 耳穴の形状の違いを、可聴音と非可聴音で測定する

 イヤフォン装着時には従来の可聴音で認証し、ユーザー自身が認証されたことを確認、それ以降は作業の妨げにならない非可聴音で常時認証を行う――といった活用が可能。イヤフォンを着脱しても、99%以上の高精度な認証精度を実現できるという。

 研究成果は、「日本音響学会2018年春季研究発表会」(3月13日〜15日、日本工業大学宮代キャンパスで開催)で、13日に発表する。

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