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“業界首位”へあと一歩、駐車場シェアサービス「akippa」に迫る脅威「NOKIZAL」決算ピックアップ(2/2 ページ)

» 2018年04月17日 13時30分 公開
[NOKIZALITmedia]
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 駐車場の1拠点には大体、複数のスペースがあり、貸し手が全て同じ会社に委託しているとは限りません。つまり、試しにakippaに1台分開放すればそれは残り全てが他社でも1拠点ずつです。また、駅近好立地の既存1拠点も、駅から離れた個人の玄関先のスペースも1拠点であり、以前から取り組んでいる既存企業の方が稼働率の高いスペースを抑えている可能性は高いです。

 提携している大手不動産系や鉄道会社系にしても、余った遊休スペースの稼働率を上げていきたいところでしょうが、現状、遊休スペースになっている場所には“遊休”になっている理由があり、認知が上がれば必ず稼働率が上がるというわけではないでしょう。そう考えると、拠点数は大きな指標の1つではあるものの、必ずしも売上と比例するものでもないと思われます。

既存の駐車場大手に加え、Uberに1兆円出資のソフトバンクも参入

 仮に稼働率も良好に推移したとして、本当に既存の精算機や車止めの設備投資は必要ないのか、という点も少し気になります。駐車場シェアに限らず、シェアリングエコノミーは性善説と相互評価によるところが大きいわけですが、規模が広がれば広がるほど、不正駐車など思わぬ問題が発生する可能性は高まります。それに対し、本当に“初期投資不要”をベースとした貸し手獲得や料金体系を維持できるのか、といった点です。

 そして、上記の問題もクリアしたとして、やはり気になるのが既存、新規含めた競合の存在です。駐車場シェアが本当に拠点数に匹敵するような市場インパクトを得たとして、既存の駐車場を抑えている大手企業が「単価を下げたくない」「事前予約で埋めたくない」のみで、手をこまねき続けて“イノベーションのジレンマ”に陥るかというと、今の時代さすがにそれはなさそうな気がします。結果腹をくくって、同じ土俵で手数料勝負などに持ち込まれるのは避けたいところです。

 また、今回参入を発表したソフトバンクに関しては、ネットの知見と体力があるというアドバンテージに加えて、Uberに1兆円もの出資を行っており、自動車関連には相当注力していくことが予想され、今後の動向によっては脅威になることもありそうです。

 とはいえ、akippaにも、これまで先行して蓄えてきたアドバンテージや知見がありますし、既存の大手企業の動向もしっかり把握はしているでしょうから、いきなり根幹が揺らぐということはないと思います。ただ、こういった状況と今回の決算を見る限りは、例えば、AirbnbやUberのように圧倒的な優位を取れている、という感じではないと思うので、まだまだ勝負どころは続きそうです。

カーシェアや自動運転とも連携した未来の駐車場?

 カーシェアリングはだいぶん広がってきました。akippaのような駐車場シェアリングも業界全体のスタンダードになっていき、いつか自動運転が本当に実現したとしたら――。ふと思い立って、カーシェアで空いている車に乗り込んで、車内で提案された目的地近くのスペースの中から距離と料金が良い感じのものを選択、後は座っているだけでその駐車場まで到着、というような未来が待っているかもしれません。そう思うと、ワクワクしてきますね。

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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