ITmedia NEWS > 製品動向 >
ニュース
» 2018年04月25日 15時00分 公開

毎日の情報映す「未来ドア」 AIと大型ディスプレイ搭載、YKK APが2020年商品化

玄関ドアが“AI執事”になる――窓やアルミサッシなどを手掛けるYKK APは4月25日、大型ディスプレイや人工知能(AI)を搭載した“未来ドア”「UPDATE GATE」のプロトタイプを発表した。2020年発売予定で、価格は搭載する機能の数によって130万〜200万円程度となる見込み。

[井上輝一,ITmedia]

 玄関ドアが“AI執事”になる――窓やアルミサッシなどを手掛けるYKK APは4月25日、大型ディスプレイや人工知能(AI)を搭載した“未来ドア”「UPDATE GATE」のプロトタイプを発表した。2020年発売予定で、価格は搭載する機能の数によって130万〜200万円程度となる見込み。

大型ディスプレイや人工知能(AI)を搭載した“未来ドア”「UPDATE GATE」の屋外側

 UPDATE GATEはドアを通る人に合わせて情報を提供したり、顔認証によって自動解錠できたりするドア型デバイス。屋外側に49型4K解像度のIPS液晶ディスプレイを縦に2枚、室内側に55型4K解像度のIPS液晶ディスプレイを1枚配置し、視覚情報を提供。人感センサーとカメラによってドアの前に立ち止まる人の顔を認識する。

 部屋から出て行く人に対しては、今日の予定や天気、交通情報などをAIがディスプレイと音声で執事のように案内。玄関前に家族が帰ってくれば、顔認識で自動解錠。ホームヘルパーなど家族以外の解錠にも対応でき、入室を許可していない人が来訪した際には自動で家主のスマートフォンへ玄関前の映像を転送することもできる。

室内側の表示

 YKK APは、2016年から窓をIoT(Internet of Things)化する「未来窓プロジェクト」を開始。2017年には窓をディスプレイ化し、各種情報表示やコミュニケーションツールとして利用できる“未来窓”「Window with Intelligence」のプロトタイプを発表。今回のUPDATE GATEも未来窓プロジェクトに連なる製品と位置付けている。

同社の菅間信太郎執行役員

 同社の菅間信太郎執行役員は「窓やドアは、家の環境や健康にとって重大な役割を果たす一方、リフォームの際にはキッチンなどの設備に比べて軽視されてしまうのが現状。もっと楽しみながら開けられるような窓やドアにしていきたいという思いで未来窓プロジェクトをスタートしている」とプロジェクトの趣旨を説明。

 当初は窓のプロジェクトとして発進した中で、新たにドアの開発に取り組んだ理由としては、「ドアは住宅の中では一番人が通る場所であり、人が集まる場所には必ず課題がある。そんな課題を解決するものとして“未来ドア”を企画した」と同社事業開発部の東克紀部長が話す。

同社事業開発部の東克紀部長

 玄関の現状の課題としては、防犯や見守りニーズといった「社会性」、自分らしさの表現やネットワーク連携といった「利便性」、断熱性や日光の取り入れにくさといった「快適性」の3つがあると東部長は指摘。

 UPDATE GATEの顔認証によって防犯需要や見守りニーズの課題を解決し、表示する背景を自由に変えられるディスプレイや、人に合わせて情報提供するAIで従来のドアにはない利便性を提供。さらに、ドア脇のガラス(両袖部)には体積の9割以上が空気でできた高断熱性の透明固体「エアロゲル」を使用した3層ガラスを備えた。

 顔認証によって電動で解錠するというコンセプトから、UPDATE GATEにはドアノブや鍵穴が備えられていない。停電の際の解錠はどうするのかという質問に対しては、「検討している。物理的な鍵を付けることも考えられる」(東部長)と、商品化までにさまざまな可能性を検討していると述べた。

 130万〜200万円という価格が高いのではないかという質問では、「例えば室外のディスプレイが不要であれば外すなどして、必要な機能に絞ることで価格を抑えられる。現在のドアの最高級品が80万円程度なので、それとの価格差で考えてほしい」(東部長)と話す。

 日常の情報を見るために人はドアで立ち止まるのだろうか、スマートフォンで見て完結してしまうのでは――という指摘に対しては「その通りで、ディスプレイでの情報提供がメインとは考えていない。人に応じたAIエージェントによる案内が主で、案内すべき情報があれば案内するし、その必要がなければ特に何も話さない」(東部長)と、音声によるコミュニケーションが主になる見解を示した。

 なお、17年にプロトタイプを発表し、2020年をめどに商品化を目指すとしていた未来窓「Window with Intelligence」については、「裏側から表示内容が見えてしまう問題や直射日光に対する耐性の問題を実証実験でクリアでき、かつ有機ELの量産がすすめば商品化を考えていきたいが、現状としてドアと同時期の販売までは見えていない」(東部長)という。

 ハードウェア・ソフトウェア開発には、ゼンリンデータコムからスピンアウトしたWill Smartが協力。AIの実装にはNTTドコモがAIエージェントAPIを提供した。エアロゲルには、京都大学発のベンチャー企業ティエムファクトリの商品「SUFA」を採用している。

 UPDATE GATEは、4月26日から「YKK APショールーム新宿 特設ギャラリー」で一般公開する予定。

天井に人感センサーがあり、人感センサーで人を検知してからカメラによる顔認識を開始する 現状複数人の顔認識には対応しておらず、先に立った人1人の顔のみを認識する
音声認識のためのマイクはディスプレイ脇に備えられている
「今日は午後8時に帰ってくる」とAIに伝えると、午後8時の天気予報などを教えてくれる
タッチで各種メニューを選択することも可能 室内灯のオンオフも玄関でできるように

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.