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» 2018年06月12日 18時38分 公開

「独立性を重視する」「今まで通り自由に使える」 Microsoftが買収するGitHub

米Microsoftが買収する米GitHubのジェイソン・ワーナーさん(シニアバイス・プレジデント)は「これまでとほぼ変わらない。独立性を重視する」と強調する。

[片渕陽平,ITmedia]

 「これまでとほぼ変わらない。独立性を重視する」――米Microsoftが米GitHubを買収することについて、GitHubのジェイソン・ワーナーさん(シニアバイス・プレジデント)はそのように強調した。「統合の魅力は、Microsoftが抱える11万人の開発者から知見、ノウハウを学べること」とも説明した。

photo 左からGitHubのジェイソン・ワーナーさん(シニアバイス・プレジデント)、日本マイクロソフトの榊原彰CTO(最高技術責任者)、GitHubの公家尊裕さん(カントリー・マネジャー・ジャパン)=6月12日、GitHubが開いた開発者向けイベント「GitHub Satellite Tokyo」にて

独立した運営を継続

 GitHubは、ソフトウェア開発者がソースコードを共有できるWebサービスとして、2008年4月に正式に提供を始めた。18年6月現在、世界で約2800万人の開発者が利用するサービスに成長した。開発者がGitHub上で作成したリポジトリは8500万超。同社の公家尊裕さん(カントリー・マネジャー・ジャパン)は「10年間でGitHub上で革新的なプロジェクトが多く生まれ、世に送り出された」と胸を張る。

 GitHubは「2015年、大きな決断をした」(公家さん)。米国以外の拠点として東京にオフィスを構え、日本語でのテクニカルサポートなどを充実、日本国内でのニーズ拡大にも努めてきた。公家さんによれば、15年と比べると日本のユーザー数は250%増えたという。

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 ワーナーさんは「開発者は、世界中で最も求められるスペシャリストになった。彼らが書くコードは、地球上の原動力になっている」という。ただ、開発者にとって「学びは終わらない」。日々、新しいツールやプログラミング言語などが登場し、開発者が追い付くのは簡単ではないと、ワーナーさんは指摘する。

 「ソフトウェアのコード自体も複雑化する中、開発者が望むような、コーディングをしやすい環境作りにシンプルにフォーカスし、迅速にコードをリリースできるお手伝いをしていく」(ワーナーさん)

 これまでも同社は「複雑な問題を開発者が皆で解決できるように、シンプルなソリューションを提供してきた」という。例えば、開発者のローカルリポジトリでの変更を他の開発者に通知し、コードレビューを促す「プルリクエスト」は、GitHubが最初に取り入れた。「いままでのGitHubであり続けるとともに、Microsoftとの統合でサービスを加速する推進力を得る」

photo 登場時「設計図共有サイトのファンの皆さまこんにちは」とあいさつし、会場を沸かせた日本マイクロソフトの榊原彰CTO

 統合により、Microsoftの開発者のノウハウを取り込む。「Microsoftにはスマートな開発者がそろっている。Microsoftはクラウドサービスも展開しており、それらを支えるインフラの開発者から学べることは多い」(ワーナーさん)

 Microsoft傘下となっても、独立した運営を続ける方針だ。日本マイクロソフトの榊原彰CTO(最高技術責任者)は「Microsoftは、創業当時から開発者と歩んできた。GitHubは、開発者がより多くのことをできるようにする『デベロッパーの家』。価値観をともにするGitHubと、開発者を支援する道を選んだ」と話す。そのために「(Microsoft製のものに限らず)全てのデバイス、クラウドサービス、OSをサポートする」という。

 「LinkedInや『Minecraft』開発元のMojangを買収したときも、彼らの独立性を保ってきた。今回もそのように行動で示す。開発者が今まで通り、GitHubの機能を自由に使い、安心してソースコードを蓄えられるようにすることが、Microsoftのミッションだ」(榊原さん)

DDoS攻撃への対策も

photo GitHubのジェイソン・ワーナーさん(シニアバイス・プレジデント)

 一方、GitHubは3月、DDoS攻撃を受け、一時アクセス不能になるトラブルが発生した。ワーナーさんは「過去最大級の攻撃だったが、誇りに思うのは、使えなくなったサービスは全体の一部分で、数分で復旧したことだ」と話す。

 「今後、同様の攻撃がいつ起こるかは予見できないが、障害から復旧する仕組みが優れたインフラを整えており、リカバリーは可能と信じている」(ワーナーさん)。プロバイダーとの連携の他、Microsoftと共同で対策を考えられる部分もあるとしている。

 「世界最大規模のソースコードを有しているプラットフォームとして、こうした攻撃に対処していく責任があると思っている」(ワーナーさん)

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