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JASRAC、音楽教室21事業者36施設と包括契約

» 2018年07月11日 07時01分 公開
[ITmedia]

 日本音楽著作権協会(JASRAC)は、7月10日の記者会見で、音楽教室からの著作権料徴収について4月から全国の事業者に対して契約手続きの案内を開始したと明らかにした。既に21事業者36施設と包括契約を交わしたという。

JASRAC会長で作詞家のいではく氏。「音楽教室は商売で、世の中に仕入れなしでやっていける商売はない。音楽教室の場合は楽曲が仕入れで、代金を支払うのは当たり前の話」とコメント

 音楽教室からの著作権料徴収については、JASRACと、ヤマハ音楽振興会などが結成した「音楽教育を守る会」が激しく対立。2017年6月には守る会がJASRACに徴収権限がないことを確認する訴訟を東京地裁に提起した。12月には徴収の保留を求めて文化庁に裁定を申請したが、文化庁の諮問機関である文化審議会は18年3月に保留を行わないとの答申を出した。一方、JASRACに対しては司法判断が下るまで個別の督促をしないなどの行政指導を行っている。

JASRACの世古和博常務理事

 裁定を受け、JASRACは4月1日から利用料の徴収を進めると同時に、守る会の加盟施設を含む全国7300の音楽教室に対して18年度分の著作権利用料を10%減額すると発表。既に「490の事業者に対して契約の意向を確認し、21事業者36施設と包括契約を結んだ」という。「音楽教室に状況を詳しく聞きながら契約を案内している。使用楽曲の全量を報告してもらう」(JASRACの世古和博常務理事)

 ただし、守る会に加盟している教室など9割以上は未契約だという。世古氏は、「行政指導により司法判断が終わるまでは督促できないが、そのような状況の中でも36施設から契約をいただいたのは相当の評価を得たと考えている」と自信を見せる。「他の事業者は司法判断を見守っている。司法判断が出る時が潮目(が変わる時)と考えている」(世古氏)

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