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» 2018年07月11日 18時29分 公開

新連載「シェアサイクリング・ブギ」:自転車にApple Watchをタッチ? シェアサイクルの進化ぶりに驚いた

近頃話題の自転車共有サービス、シェアサイクルを体験しながらレポートする連載がスタート。まずは練馬区シェアサイクルから。

[松尾公也,ITmedia]

 シェアサイクルを使ってみた。初めてのことだ。

 最近、筆者はロードバイクに再び乗り始めた。腰と背中を悪くして杖なしで歩けない時期が1年半以上続いていたのだが、どうやら治癒したようなので、リハビリのために以前使っていた自転車を復活させ、毎日走るようにした。

 そうすると、これまで「もう乗ることはないだろうな」と視界からワイプアウトしていた自転車が目につき始めた。最近はいろんなところに設置されている、テンキーがついた自転車。アイティメディアのある紀尾井町ビルにもそんな自転車置き場がある。「ちよくる」という、自転車共有サービス、いわゆるシェアサイクルの赤い自転車がたくさん並んでいる。

photo ちよくる

 自宅近くの公園に同じような赤い自転車が数台置かれているのにも気づいた。ちよくるが千代田区のシェアサイクルであるのに対し、これは練馬区のシェアサイクルだ。ただ、ねりくるという名前ではなくて、練馬区シェアサイクルというストレートなネーミング。ねりくるがいいと思うんだけど。

 実は練馬区は自転車共有サービスの先駆者だ。1989年から自転車レンタルを実施していて、一部の大規模駐輪場にママチャリを置いてレンタルしている。この「ねりまタウンサイクル」は放置自転車対策を重点課題としていた練馬区にとってRCS(借りた場所に戻すレンタ・サイクル・システム)の社会実験としての側面もあったようだが、その運用システムはほとんど進化せず30年近くの時が流れた。

 そこに、電動アシスト、どこにでも返却できる、FeliCaカード対応、スマートフォンアプリあり、GPSを活用したサービスを持ったドコモの現代型シェアサイクル事業が登場した。2012年に江東区で実証実験がスタートしたこのシステムは練馬区に2017年10月1日に導入され、2020年3月31日まで社会実験として継続される

 ねりまタウンサイクルは今も存続しているが、練馬区シェアサイクルが登場したことにより、石神井公園と大泉学園、上石神井においては貸自転車の当日利用は休止している。30年近く進化のなかったシステムなので、いずれはフェイズアウトしていくのだろう。

 そんな練馬区のシェアサイクルを使ってみた。

登録して走ってきた

 練馬区シェアサイクルを始めるには、まず会員登録だ。会員には月額2000円の月額会員と1日会員とがある。1日会員は利用ごとに最初の30分に150円、それ以降は30分ごとに100円がかかる。月額会員は月に何度利用しても30分以内であれば追加料金なし。ただし、30分以上連続で使うと1日会員と同様に追加料金が発生する。月に14回以上乗れば元が取れることになる。あと、1500円で夜の0時まで乗り放題な1日パスというのもあるが、まあここはおとなしく1日会員に。ちなみにいずれも税抜き価格だ。

 支払い方法はクレジットカードかドコモ払い。自転車にはFeliCaと書かれたカードタッチの表示がされているので、そこで支払いができそうなのだが、そうではない。ここは筆者自身が誤解していたポイントだ。

 たしかにFeliCaチップ搭載のカードやモバイルSuica対応の携帯、スマートフォンは使えるが、それは支払いではなくて、認証に使えるということなのだ。申し込みはWebからでも、モバイルアプリのbike shareからでも可能。筆者はクレジットカード払いにしてみた。

 登録が終わると8桁の数字が提示される。これを自転車のテンキーに入力してFeliCaデバイスをタッチすると、そのアカウントとFeliCaデバイスが紐付けされ、会員証となるのだ。それ以降は会員証となったFeliCaデバイスをタッチするだけで、その自転車がアンロックされ、利用可能になる。

 実際にやってみると、少し複雑だ。

 筆者はApple Watch Series 3を会員証にすることにした。STARTキー、ENTERキーを押して、次に8桁の数字を入れる。会員証となるデバイスをFelicaカードリーダーにかざすよう求められるので、Apple Watchを押し付けた。

 しかし登録されない。何度やってみてもダメ。もしやと思って、Apple Watchのサイドボタンをダブルクリックし、モバイルSuicaを呼び出す。この状態で同じような処理をすると、今度はうまくいった。会員証登録の処理はあらかじめモバイルSuicaの画面を用意したうえでやったほうがすんなり行きそうだ。

 出かける前に、自転車を借りるところと返すところを見つけておかねばならない。Webでも、bike shareアプリでも現在の位置から検索できる。筆者の場合は自宅の最寄りに2カ所、サイクルポートと呼ばれる、練馬区シェアサイクルの自転車が置かれている場所があるので、その片方を選んだ。約1時間のシェアサイクル体験を動画にまとめているので、よかったら見ていただきたい。

 ルートは、石神井松の風文化公園-石神井公園駅-谷原-光が丘-土支田-東映撮影所-石神井団地といったところ。全12キロ。たっぷり59分、150円+100円(税別)の旅を楽しんだ。

 実際、楽しかったのだ。電動アシスト自転車が初体験だったということもあり、たいして漕いでいないのにずんずん進む、いまどきの電動ママチャリの進化具合に驚いたのがひとつ。いろんなところにポートがあり、Apple Watchを押し当てるだけで施錠が解除され、その自転車が自分のものになる。駐輪して施錠しても、Apple Watchを当てるだけで解錠できる。鍵が手と一体化している気楽さ。

photo 石神井松の風文化公園のサイクルポート

 返却するのも簡単だ。ロックをしてENTERキーを押すだけ。しかし、ここがちょっと引っかかった。ロックの場所が分からないのだ。最初に使ったのが夜だったこともあり、その場所を見つけるのに苦労をした。左側のオレンジの部分を押しながら下向きに動かす。

photo オレンジ色の部分を押しながら
photo 一番下まで下げる

 施錠されると、その通知が登録したメールアドレスに来る。だが、それだけでは単にロックをかけただけで返却したことにはならない。さらにENTERキーを押すことで返却されたことになり、またメールが来る。これがRETURN(返却)キーなら分かりやすいのだが……。このときは返却に手間取っている間に何カ所も蚊に刺されてしまった。

photo 返却するにはRETURNキーではなくENTERキーを押す

 自転車は施錠と解錠の繰り返し。それを忘れると盗難の危険にさらされる。それをApple Watchでできたらどんなにいいだろう。自分のロードバイクのロックチェーンもApple Watchでロック、アンロックできるようになればいいのにと思っていたのだが、それが登場する前にドコモが実現してしまっていた。ドコモすごい。

 ドコモがシェアサイクルをやり始めた当時は「FeliCa? いやiPhone関係ないですしおすし」と冷ややかな目で見てたのだが、今やiPhone、Apple WatchはFeliCa大好きデバイスになってしまったので、無関係と思われたFeliCa依存サービスが一気に身近に感じられるようになった。ドコモのバイクシェアしかり。

 会社からの帰宅時、最寄り駅に着いてからスーパーで食料を買い込んだり、次のバスにはまだ時間がある、でも疲れて歩きたくないとき、近くのサイクルポートまで歩いて行って気楽に自転車を借りていける、そして家の近くで返却して200メートルちょっと歩いて玄関まで。そんなことが簡単にできるようになった。

 自転車で駅の近くの駐輪場に置いたら100円から200円取られてしまうし、雨が降っても家まで持ち帰る必要がある。シェアサイクルならば自転車で帰りたいときだけ使える。

 ちょっとした自由を得た気分だ。今日はどうするかな。いや、駅に着いてから決めればいいか。

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