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» 2018年07月18日 17時30分 公開

「目の前の友達が! 先生が沈んでいる!」 濁流に飲まれるARアプリに「説得力ありすぎ」 (1/2)

部屋に濁流が流れ込み、実際にいる子どもや家具が飲まれていく――そんなショッキングな光景を体験できるARアプリが、ネット上で話題に。

[片渕陽平,ITmedia]

 水深0.2メートル、0.4メートル、1メートル……部屋に濁流が流れ込み、実際にいる子どもや家具が見る見るうちに飲み込まれていく――そんなショッキングな水害の様子を体験できるAR(拡張現実)アプリがネット上で注目を集めている。

 7月初旬、西日本を中心とした豪雨で、河川氾濫などの被害が相次いだ。そうした中、ARアプリを開発している愛知工科大学工学部の板宮朋基教授がTwitter上に動画を投稿したところ、1万回以上リツイートされた。ネット上では「1メートルと聞いただけではピンと来ないが(現実にCG映像を重ねると)分かりやすい」「自分の子どもが水に沈んでいくリアルな映像は、説得力がありすぎて怖い」といった声が上がっている。

photo 部屋に濁流が流れ込んでくる様子を体験できる
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 このアプリ「DisasterScope」は、スマートフォンを紙製のゴーグルに装着して利用。現実世界に濁流や漂流物のCG映像が重ね合わさって表示される。板宮教授は、アプリを全国各地の小学校や自治体などに提供。昨年は計50回ほど防災訓練を実施した。

「目の前の友達が! 先生が沈んでいる!」

 「説明を聞いたり、被災地の写真を見たりすることに比べて、他人ごとではないと実感できる」と板宮教授は力説する。リアルな浸水の表現や、漂流物が流れる様子は、共同研究している防災科学技術研究所や岩手大学の協力を得て、シミュレーションした結果に基づき作成。東日本大震災や、昨年7月の九州北部豪雨など、被災地の映像も参考にしている。

 現実空間の人間などの背後に、CG映像の水が回り込むように見えるよう表現する「オクルージョン処理」や、漂流物と接触する様子の再現には、米Googleの空間認識技術「Tango」を活用した。スマホに取り付ける紙製ゴーグルは、子どもの目の発達に影響を与える可能性があるとされる複眼式ではなく、目が疲れにくい単眼式を採用している。

photo 浸水を体験できるアプリは、GoogleのAR技術「Tango」対応のスマートフォン「ZenfoneAR」(ASUS製)のみで使える。ただ、Tangoより精度は劣るが、画像認識技術をベースにしたARプラットフォーム「ARCore」に対応したスマホでも視聴は可能という
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 「目の前の友達が! 先生が沈んでいる! がれきが流れてくる!」――体験した子どもの多くは、大声でそう叫ぶという。

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