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「苦渋の決断」 シャープが白物家電の国内生産を終了 テレビも亀山工場のみに

» 2018年08月03日 19時56分 公開
[ITmedia]

 シャープが八尾事業所(大阪府八尾市)での冷蔵庫生産を2019年9月までに終了し、白物家電の国内生産から撤退する。戴正呉社長が全社員に向けたメールの中で明らかにした。また17年12月末までに栃木事業所(栃木県矢板市)のテレビ生産も終了する。

八尾工場は冷蔵庫の他にも洗濯機など多くの白物家電を製造していた。写真は1959年の洗濯機生産ライン(出典:シャープ100年史)

 八尾事業所は1960年から約60年にわたって冷蔵庫を生産してきたが、冷蔵庫工場が耐震問題を抱えていることに加え、「冷蔵庫事業の存続にはコスト競争力の強化が必要」(戴社長)と判断。今後、冷蔵庫の製造はタイの生産会社SATLなどに切り替える。

八尾工場の冷蔵庫生産ライン(2017年12月撮影、シャープ提供)

 戴社長は、「約2年前から慎重に検討を重ね、今回の苦渋の決断に至った」と全社員に報告すると同時に、「日本市場のみならず、グローバル市場でシェアを引き上げ、冷蔵事業のさらなる拡大を目指す」としている。

国内のテレビ工場は亀山のみに

 栃木事業所は1968年、高度成長に伴うカラーテレビ需要の急増を受けて操業を開始。半世紀近くに渡ってテレビを生産してきたが、今後は物流やサービスの拠点とする。テレビ事業に携わる社員は、大阪府堺市や千葉県幕張の事業所に移り、「より効率的かつスピーディーな事業運営ができる体制の構築を進める」という。これにより、シャープの国内テレビ工場は三重県の亀山工場のみとなる。

1968年、栃木工場に導入されたロングコンベア(出典:シャープ)

 16年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ったシャープは経営を立て直し、同年第4四半期以降は6四半期連続で売上が前年同期を上回るなど好調に推移している。17年12月には東証1部に復帰した。

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