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グリー子会社、VTuber専用のライブ配信サービス「REALITY」提供開始

» 2018年08月07日 17時38分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 グリーがバーチャルYouTuber(VTuber)事業のために設立した100%子会社・Wright Flyer Live Entertainment(WFLE)は8月7日、VTuber専用のライブ配信サービス「REALITY」を開始した。同日からKMNZ(ケモノズ)や葉月ナツ、月ノ美兎などのVTuberがライブ配信を開始し、スマホアプリ(iOS/Android)から視聴できるようにする。

 VTuberの数は急増しており、ユーザーローカルの調査によれば2018年7月時点でVTuberとして活動している人は4300人以上という。しかし、2500人以上は1カ月以上更新がないなど、活動を継続するには課題が残る。WFELの荒木英士社長は、「より長くVTuberに活動を続けてもらい、社会に浸透させるためには、継続的にVTuberが活動するためのファン獲得と収益化が不可欠。これを支援するプラットフォームを提供する」と話す。

photo VTuber専用ライブ配信アプリ「REALITY」

 REALITYにはVTuberと視聴者が双方向でコミュニケーションするための機能を用意。視聴者はアプリから「コメント」を送って会話をしたり、3Dアイテムを「ギフト」として贈り、画面に花火を表示したり、VTuberにサングラスをかけてもらったりすることができるという。

photo 視聴者はコメントを送ってVTuberとコミュニケーションできる
photo 3Dアイテムを贈ると、VTuberに身につけてもらえることも

 アイテムは無償のもの、数円のもの、数千円のものなど幅広く取り揃える。有償アイテムの売り上げの一部はVTuberに還元され、配信初日から収益化が可能という。

 VTuberにはグロス売り上げの30%をプラットフォーム手数料として課すが、配信に関する独占条件などは設けず、他のプラットフォームと併用できるようにしている。「われわれは後発なので、すでに活動している人やこれからVTuberになろうとしている人に活動形態を広げてもらいたいと考えている」(荒木社長)

 サービス開始を記念して11月末までプラットフォーム手数料や、REALITYでの配信に必要な3Dモデル制作料を無料にし、売り上げ還元率を200%にするキャンペーンも実施する。

 また、秋には一般ユーザーが3Dアバターを作成してVTuberになれるアプリ「REALITY Avatar」(仮)も公開予定。目や眉、帽子やトップスなどをカスタマイズして自分好みのアバターを作成し、PCや専用の機材などは使わずに、スマホだけでライブ配信が行えるという。

photo 「REALITY Avatar」(仮)

 アバターはドワンゴが提案している3Dアバターのファイルフォーマット「VRM」にも対応。VRMファイルをインポートして、使用できるようにする。

photo 「VRM」にも対応し自分好みのアバターでVTuberになれるようにする

 荒木社長は「(WFLEでは)肉体的、物理的な制約から全人類が解放され、なりたい自分になって自由に生きられる世界を実現したいと考えている。VTuberは“人が電子的な世界で生活できる”ことの体現の一つ」とし、今後もWFLEではVTuberのデビューや、継続的な活動のためのファン獲得、収益化などの支援を進めていくという。

 WFLEは8月6日にピクシブ、バイドゥと開催した共同オーディションで選出した3人のVTuberを18年秋にデビューさせることを発表した他、8月中にはキングレコードと共同で、VTuberへのオリジナル楽曲提供やプロモーションなどを行う音楽レーベルを設立予定。親会社のグリーは、4月に行った決算説明会でVTuber事業に1〜2年間で約100億円を投資し大規模に事業展開していく方針を明らかにしている。

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