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「RPAは魔法のツールじゃない」 年間8500時間を削減、リクルートはロボットに何をさせた?(2/3 ページ)

» 2018年08月20日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 赤塚さんによると、小規模で始めて徐々に対象範囲を拡大したこともあり、リクルートでは特に問題は起きなかったという。

 「リクルートがボトムアップの文化なので、現場にも課題意識があり、(RPAを)スムーズに導入できた。繁忙期で優先できなかった別の作業ができるようになったりして、現場も喜んでいる」(赤塚さん)

 作業時間の短縮に加え、人的ミスが減るという副次的な効果もあった。効果を検証しながら試行錯誤している最中だが、プロジェクトとしては成功といってよさそうだ。

RPAは「魔法のツール」じゃない

RPA 赤塚さん

 しかし、当然何もかもがスムーズに進んだわけではない。業務部門にとってRPAは未知のツール。当初は期待値や理解度に対するギャップがあった。

 「RPAは、絶対にミスしない魔法のツールみたいに思われている所があったが、実際に自分でツールを触ってみると(人間がルールを決め、保守運用などのメンテナンスも必要な)それはシステムだった」(赤塚さん)

 現場からは「人の判断も含めて自動化される魔法のツール」と思われることもあったが、人の手によってデータ判断ルールを実装するルールベースのRPAでは、判断の自動化はできない。

 過度の期待は禁物。ロボットができること、できないことは何か、どれくらいの期間でどの業務を対象に行うのかなどの要件を最初にきっちり決めておく必要がある。

RPAツール選定のポイントは

 赤塚さんによると、RPAツールの選定には4つのポイントがあるという。それは(1)管理性、(2)会社とのマッチング度、(3)操作性、(4)既存システムが使えるかどうかで、同社にとってこれらの条件を満たすのがUiPathだった。

 “野良マクロ”や“野良データ”という言葉があるように、個人や特定の部署が使うツールやデータはシステム管理者の目が届かず“野良化”してしまう傾向がある。

 赤塚さんもツールの野良化を懸念しており、基本的にサーバ管理できるものを優先すべきと考えた。リクルートの業務内容や既存システムとの兼ね合いもあり、クライアントPC単体でも利用できる機能もあるという。

 「ツールが野良化すると、それが分かる人がいなくなると誰も動かせなくなってしまう。中身が分からないものは運用も難しく危険」というのがシステム管理者としての本音だ。

 エラーが起きたときのリカバリー設計も重視する。「エラーで止まったとき、勝手に再起動するのか、人間がまた手作業をするべきなのか。リカバリー設計は、導入時に業務を行う人と決めた方がいい」(赤塚さん)

 そして、今はAIを使って「判断」も自動化しようとしている。

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