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「イベント会場は魔物」 ドワンゴが語る、バーチャルキャラをリアルに“召喚”する方法とその注意点(1/3 ページ)

» 2018年08月27日 13時37分 公開
[村上万純ITmedia]

 世間ではバーチャルYouTuber(VTuber)が話題だが、動画サービス「niconico」を運営するドワンゴは、こうしたバーチャルキャラクターをリアルに“召喚”するさまざまな試みをしてきた。

 初音ミクのライブでは透過スクリーン+プロジェクターで、等身大のミクさんの映像を投影していたが、最近ではリアルイベント「ニコニコ超会議2018」に設置した「バーチャルYouTu”BAR”」ブースが記憶に新しい。

ドワンゴ 「バーチャルYouTu”BAR”」(岩城進之介さんの投影資料より
ドワンゴ 初音ミクを煙上に登場させた演出も

 透過有機ELディスプレイにバーチャルキャラの上半身を投影し、バーカウンターを模したステージ上で来場者とリアルタイムで会話できるようにした。人気VTuberが出演するとあって多くのファンが集まった。

ドワンゴ 通称「MIROさん」こと岩城進之介さん

 これらのイベント演出や、AR/VR開発全般を担当してきた元ドワンゴの岩城進之介さんが、8月24日にゲーム開発者イベント「CEDEC 2018」で、バーチャルキャラをリアルに“召喚”する方法を語った。岩城さんは、初音ミクと歌舞伎役者の中村獅童さんが共演する舞台「超歌舞伎」や、入学生全員がVRヘッドマウントディスプレイを装着して臨むN高等学校の「VR入学式」「MR入学式」なども担当。今は7月にドワンゴが共同設立したVRの新会社バーチャルキャストでCTO(最高技術責任者)を務めている。

 岩城さんは「イベント会場は魔物」と繰り返し強調する。バーチャルキャラを使ったイベントは大掛かりな機材や設備が必要になることも多い。イベントを成功に導くコツと注意すべき点は。

「凝った技術」は目的ではない

 イベントや生放送にバーチャルキャラを登場させる上で、まず考えるのが「来場者や視聴者にどう楽しんでもらうか」(岩城さん)だ。「(バーチャルキャラを使うことは)技術的に面白いので凝ったことをやってしまいがちだが、お客さんが置いてけぼりになってしまう」可能性がある。技術を追っていると見失ってしまいがちだが、お客さんに楽しんでもらうという本来の目的は忘れてはいけないという。

ドワンゴ バーチャルキャラをイベントに召喚するための要素

 その上で、自分たちがやりたいことにはどんな技術が必要かを選定する必要がある。岩城さんは(1)キャラの動き(モーションキャプチャー)、(2)キャラの出現方法(ディスプレイ)、(3)キャラを演じる演者の演出、(4)イベント全体の成立(全体設計と運用)の4要素で考える。

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