ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >
ニュース
» 2018年10月09日 08時00分 公開

これからのAIの話をしよう(覆面AIベンダー編):「開発の丸投げやめて」 疲弊するAIベンダーの静かな怒りと、依頼主に“最低限”望むこと (4/5)

[松本健太郎,ITmedia]

 いきなり工場で使うセンサーの専門的な説明をされても、AIベンダー側はすぐに理解できません。業務知識については深い理解があるけれどAIが分からない依頼者、AIには詳しいが業務知識が欠落しているAIベンダーの間に溝があるのです。そのため、仕事のプロセス自体をAIで置き換えることができず、業務フローに合わせてシステムをカスタマイズするような結果になってしまうのです。

マスクドさん 画像はイメージ

 「理想は、業務知識が分かっている現場の人と、AIに詳しくてなおかつ現場の人とコミュニケーションが取れる人がタッグを組んで、最適な仕組みを導入できれば最高です。ですが、そういう取り組みはイケてる内製化成功企業でしかできていません。そもそも、現場一筋30年の熟練者と、ロジカルにプログラミングする人はうまくかみ合わないんですよね」

 こうした問題を解消するために、発注側のエンジニアで「AIを勉強してみよう」と考える人はいるのでしょうか。マスクドさんは「新しいものを取り組んで向上心がある人は、大手メーカーではなくベンチャー企業に行くのではないでしょうか」と述べます。

 「意欲がある人が上申しても、保守的かつ大きな組織では意見が通りにくい。そうすると諦めて別の会社に行ってしまう。私のソーシャル上の知り合いで、からあげさんという方が書かれた『ディープラーニングおじさん』というブログ記事が大変バズりました。あれが理想形ではあるものの、本当にまれという印象です」

 確かに、自分自身に置き換えて考えてみると、45歳や50歳になって今までの知識が全く通用しない領域をゼロベースから勉強できるかと言われれば疑問です。しかし、マスクドさんは「勉強し続ける気概、情熱が大事だ」と強調します。

 「覚えないといけないことは山ほどあります。今はPythonが主流ですが、この先に新しい言語や技術が出てくるかもしれない。常にアップデートし続けないと生き残れないでしょう」

日本がAI後進国なのは「SIerさん丸投げの20世紀思考」だから説

 米国や中国の勢いに押され、「AI後進国」ともされる日本。マスクドさんは、先進国入りするためには「内製化を進めるべき」と考えます。

 「自分のビジネスでAIがどう役に立つかを想像できるだけでも話は変わります。全員がコードを書ける必要はないんです。向き不向きはありますから。そうした努力をしないまま、とりあえずベンダーに丸投げするアウトソーシングはやめた方がいい。70年代の基幹システムやオフコンの頃から「ITが分からない」という人たちの丸投げ根性が、今もずっと続いています。その丸投げ先としてSIerさんが居続けるのも本来は問題です。これは、いよいよ産業構造の話になってしまいます。

 まずは、ITに関する知識のアップデートが大切です。全ての人が技術書や論文を読むべきとは思いません。でも、ある程度の知識は身に付けてほしい」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.