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» 2018年11月01日 18時41分 公開

「いつかはフルサイズ」――8年越しに成就したパナソニックの思い 「LUMIX S」誕生秘話 (1/2)

ミラーレス一眼を世に出してから2年で、フルサイズの必要性に気付いていた。

[井上輝一,ITmedia]

 「8年前(2010年)から、フルサイズが必要になると思っていた」――パナソニック アプライアンスの山根洋介事業部長(イメージングネットワーク事業部)は11月1日、パナソニックの創業100周年を記念した全社企画「クロスバリューイノベーションフォーラム2018」内のセミナーで、同社のフルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX S」シリーズの開発経緯を語った。

会場に参考出品された「LUMIX S1R」

10年前、ミラーレス一眼を世界で初めて開発

 一眼レフからミラーを外した、「ミラーレス一眼」というジャンルのカメラが世に初めて出たのは2008年。パナソニックの「Lumix DMC-G1」だった。DMC-G1のマウントは、フルサイズイメージセンサーの約2分の1の対角長である「マイクロフォーサーズ」だ。

パナソニック アプライアンスの山根洋介事業部長(イメージングネットワーク事業部)

 「マイクロフォーサーズの小型・軽量・機動性をお客さまにお届けする。コンパクトデジタルカメラが売れていた時代で、コンデジを使っていた人たちが、より表現力を獲得できるようなレンズ交換式のシステムを気軽に手に入れられるように、という思いがスタートだった」と山根事業部長は当時を振り返る。

 DMC-G1以来、現在に至るまでパナソニックはマイクロフォーサーズのカメラを開発・販売し続けているが、G1を発売した2年後である2010年ごろから、すでにフルサイズミラーレスの必要性には気付いていたという。山根事業部長は「マイクロフォーサーズとしては一定の文化を作れてきたとは思っていた」としつつも、「プロやハイアマの写真家から、高解像度やボケ味豊かな作品を撮るに当たってはもっと大判のカメラを、と言われており、こういったもの(フルサイズやAPS-C)が必要になると8年ほど前から思い始めていた」という。

 フルサイズの必要性は、動画撮影の面からも見えていた。

 「8年前(2010年)というと、ちょうどGHシリーズを出し始めた頃。動画性能を重視したモデルでフルHD動画を記録できるものだったが、今後4Kや8Kと高い記録画素数が要求されると、どこかでセンサーサイズに限界が来るだろうと思っていた」(山根事業部長)

 満を持して、パナソニックがフルサイズミラーレス「Sシリーズ」の開発を決めたのは「2〜3年前」だった。

 カメラシステムに独ライカの「Lマウント」を採用するに至ったのはなぜか。

LUMIX Sの背面LUMIX Sの背面 LUMIX S1/S1Rの背面

なぜLマウントなのか

 「まず自前のフルサイズ用のマウントはなかった。そのためどんなマウントを採用すべきか自社で研究するのだが、Lマウントは静止画にも動画にも優れており、パナソニックと親和性が高く非常に良いものだと思っていた」(山根事業部長)

 また、パナソニックとライカの間には技術協業提携(2000年から協業、14年にデジタルカメラ分野で協業強化)もある。「その中で議論し、是非使わせてほしいと17年1月22日に相談をしたのがきっかけだった」(同)

 パナソニックにとってLマウントを利用できるメリットは、技術の他に「ブランド力」の面も大きい。

 「LUMIXブランドは約10年ばかりのものなので、他社のカメラブランドには到底かなわない。大きなブランドに“コバンザメ”をしたいという気持ちもあった」(同)

「実は一度断っていた」

 では、ライカはパナソニックからのラブコールにすぐに応えたのか。「実は、一度断った」と明かすのは、ライカカメラAGの杢中 薫(もくなかかおる)プロダクトマネージャー。

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