前回の記事では、なぜいまデータサイエンティストが注目を集めているのか、データサイエンティストに求められるスキル、データ分析の素質がある人の特徴などを紹介した。
今回は、企業におけるデータ分析の価値や、優秀なデータサイエンティストの共通点などについて、社会人向けにデータサイエンティストを育成するプログラムを提供するデータミックス(東京・神保町)の堅田洋資社長に聞いた。
大量のデータを抱えつつも、「それを有効に活用できていない」と感じる企業は少なくないはずだ。データ分析によって企業はどんな恩恵を受けるのか。堅田社長は「売上をアップしたい」と考えるコンビニエンスストアの例を挙げて説明する。
現場から上がってくる“ふわっとした課題”を、いかにして計測・分析できる具体的な問題に落とし込むか。堅田社長は「抽象的な問題を具体化するためには、要素を細かく分解していくといい」と話す。「売上」を構成する要素は、次のようになる。
このように順番に要素を分解していくことで、データサイエンスの視点でアプローチできそうな項目が浮き彫りになる。購入率や来店頻度などは、レジのPOSデータやポイントカードなどを利用することでデータ分析の対象となりそうだ。
こうしたプロセスを経て「購入率に注目するなら、品ぞろえを変えるとよいかも」「来店頻度を上げようと思うなら、ポイントカードの活用が有効かもしれない」「来店率アップなら看板やチラシで工夫できそうだ」「認知率を上げるには広告を打つのがいいか」などの対策が立てられるようになる。手持ちのデータだけだと不十分な場合は、新たに必要と思われるデータを収集する。
「例えば来店頻度に着目し、特定の客層に向けてポイント2倍デーを作る場合、いつ、どの商品を買った人向けに仕掛けるか」という所まで落とし込めれば「5W1H」(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)に近づくので、データサイエンスで解きやすい問題になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR