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VR向け3Dアバターフォーマット「VRM」、国内13社が推進コンソーシアムを発足 任天堂もオブザーバーに

» 2018年12月20日 18時10分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 「バーチャルYouTuber(VTuber)の登場は、世界にも類を見ないユニークな現象。日本が海外に先行して3Dアバターについて議論している」──ドワンゴとインフィニットループ(北海道札幌市)がVR(仮想現実)事業で共同設立したバーチャルキャストの岩城進之介さんはそう話す。

 VR向け3Dアバターのファイルフォーマット「VRM」を提唱するドワンゴなど13社は12月20日、国内外でVRMの普及促進と統一規格の策定を行う「VRMコンソーシアム」を2019年2月に設立すると発表した。日本発の国際標準フォーマットを目指す。

photo 参画する13社のメンバー。左上段からユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの田村幸一さん、SHOWROOMの近藤善洋さん、クラスターの加藤直人CEO、ミラティブの夏澄彦さん、Wright Flyer Live Entertainmentの渡邊匡志さん、クリプトン・フューチャー・メディアの熊谷友介さん、ピクシブの清水智雄さん。左下段からドワンゴの清水俊博さん、S-courtの川崎大和社長、IVRの大鶴尚之さん、エクシヴィの近藤義仁社長、DUOの塚本大地CEO、バーチャルキャストの岩城進之介さん

 コンソーシアムに参画するのは、VRゲームやアプリ、関連サービスなどを提供するIVR(東京都千代田区)、エクシヴィ(東京都中央区)、S-court(東京都豊島区)、クラスター(東京都品川区)、クリプトン・フューチャー・メディア(北海道札幌市)、SHOWROOM(東京都渋谷区)、DUO(東京都渋谷区)、ドワンゴ(東京都中央区)、バーチャルキャスト(北海道札幌市)、ピクシブ(東京都渋谷区)、ミラティブ(東京都渋谷区)、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン(東京都中央区)、Wright Flyer Live Entertainment(東京都港区)。オブザーバーとして任天堂も参加する。

 任天堂はコンソーシアムへの参加について、「今回に限らず、エンターテインメントにおける新しい取り組みやコミュニケーションの最新動向を追えるようにしている」とコメント。直近で自社ゲームにVRMを採用するわけではなく、あくまで情報収集が狙いとみられる。

 13社は自社で提供するアプリや関連サービスにVRMを対応させる他、統一規格の策定で協力。さらにIP(知的財産)を保有する他企業や、官公庁、VR関連サービスを提供する海外有力企業との関係性を強化し、VRMの普及を促すという。2月のコンソーシアム設立に向け、今後も参画企業を募集する。

 3Dデータで事実上の標準フォーマットとされる「glTF 2.0」の仕様策定団体・米クロノス・グループとも連携する。同団体のニール・トレヴェット代表は、「VRMがglTF 2.0ベースであることで活気に満ちている。VRMコンソーシアムと密接に協力して、互換性とシナジーを最大化していく」とコメントを寄せた。

 「従来のアバターはただのデータだったが、VTuberなどの登場によってアバターが1つの人格になりつつある。権利保護機能を重視しながら、VRMの国際標準化を実現したい」(岩城さん)

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photo 写真はVRM発表時のもの

 発表会に登壇したエクシヴィの近藤義仁社長は、「VR機器がコモディティ化したことで3Dアバターの需要が高まっている。SNSのプロフィールアイコンは画像ファイルだが、VRMがVR時代のプロフィールアイコンファイルになるだろう。誰もがアバターを持てる時代が来る」と話す。

 ドワンゴが4月に提供を始めたVRMはプラットフォームやアプリに依存しないVR向け3Dアバターのファイルフォーマット。対応アプリならユーザーが1つのアバターを異なる環境、アプリで使い回せる。13社を中心に、VRMフォーマットの3Dモデルを製作できるアプリや、自身のアバターとして使えるVRアプリが登場している。

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「VRM規格がもたらす未来」

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