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» 2019年01月11日 12時00分 公開

第1回 ヤバわか勉強会 レポート:「学生のうちに、プロ以上の力を身に付けられる」 Fate/Grand Order開発者が“ゲーム業界志望者”にアドバイスしたこと

ITmedia NEWSが開催した学生向けイベント「第1回 ヤバわか勉強会」に、スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」の開発にも携わる塩川洋介さんが登壇。「ゲーム業界を目指す上で、“実は”大切なこと」を語りました。

[ITmedia]

 「学生のうちでも、プロ以上の力を身に付けられる」――そう話すのは、国内累計1500万ダウンロードを突破したスマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」の開発にも携わる塩川洋介さん。ゲーム会社・ディライトワークスに所属する“現役のクリエイター”です。

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 ITmedia NEWSが昨年12月20日に開催した学生向けイベント「第1回 ヤバわか勉強会」では塩川さんが登壇し、「ゲーム業界を目指す上で、“実は”大切なこと」をテーマに、学生のうちに取り組んでおくといいこと、学生生活の過ごし方などを語りました。聞き入る学生の皆さんの表情は、真剣そのもの。イベントの模様をレポートします。

ヤバわか勉強会

ITmedia NEWSが主催する「ヤバわか勉強会」では、学生になじみのあるヒットサービスの立役者を講師としてお招きし、ヒットの裏側と同時にキャリアに対する考え方、今後の展望を語っていただき、皆さんの“なりたい像”を明確に。世の中をアッと言わせるサービスを作り出す“ヤバイ若手”への成長をお手伝いします。

学生のうちにやっておいた方がいいことは?

photo ディライトワークス クリエイティブオフィサーの塩川洋介さん

 「学生のうちにやっておいた方がいいことは何ですか?」――大阪成蹊大学で客員教授も務めている塩川さんは、学生からそんな質問をよく受けるといいます。塩川さんは、「やっておいた方がいいこと」として(1)ゲームを山ほど遊ぶ、(2)ビジネス書を読み込む、(3)ちゃんと本物に触れる、という3つを挙げました。

 (1)「ゲームを山ほど遊ぶ」は、単に「ゲームを遊ぶ」ということではなく「山ほど」というのが重要。塩川さんは2009年ごろ、SQUARE ENIX(北米)に出向。その際、いわゆる“洋ゲー”をあまり遊んだことがなかった塩川さんは、売れているタイトル、そうでないタイトルを含め年間100〜150本の洋ゲーを遊んだといいます。

 ゲームを山ほど遊べば「知識で即戦力になれる」と塩川さんは話します。社会人は仕事が忙しく、年間100〜200本のゲームを遊べるという人はなかなか珍しいかもしれません。しかし学生には比較的時間の余裕があるため、例えばFPS(First Person shooter)のゲームをたくさん遊べばそれだけFPSに精通できる、というわけです。塩川さんは「知識を積めば積むほど、プロに並び立つものになる」といいます。

 同じく知識を積むという意味で、塩川さんは(2)「ビジネス書を読み込む」ことを勧めます。「先人たちが失敗して積み上げたノウハウが凝縮されていてお得だから」と塩川さんは話します。塩川さんは、例として「考えすぎて動けない人のための『すぐやる!』技術」(久米信行 著)など数冊を紹介しました。

 もう1つ、塩川さんが勧めるのが(3)「ちゃんと本物に触れる」こと。塩川さんは、米Amazon.comが展開するレジなしショップ「Amazon Go」を引き合いに、クリエイターとしての心構えを語りました。

 Amazon Goは、スマートフォンアプリを使って入店し、買いたいものを取ってそのまま店を出ると、事前にひも付けたAmazonアカウントで代金を支払える、というレジがない店舗です。ネット上でも話題を呼びました

 塩川さんは、Amazon Goの説明や体験記はネット上で検索すればいくらでも読めるが、自分が実際に体験したときにどう感じるかは「ネットで調べても分からない」と強調します。出張のついでに米国シアトルにある店舗を訪れた塩川さんは、「(商品を持ったまま何もせずに店を出ると)万引きしていることになるのではないか」「間違った請求が届くのではないか」と不安だったといいます。このように感じたことを、自分の言葉で語れるようになることが重要だと説明します。

 「ネット上にはレビューや評判などがあり、さも体験したかのように語ることもできる。しかしモノを作るクリエイターとしては、自分の感覚で語れないといけない。本物に触れる経験を積んで自分で語れるようになってほしい」(塩川さん)

 このように(1)ゲームを通じて、知識でまず即戦力になる、(2)ビジネス書を通じて、他人の知見を活用する、(3)本物を通じて、自分の言葉で語れるようになる――ということを実践すれば、“実は”学生のうちでもプロ以上の力が身に付くと、塩川さんは話しました。

 「学生のうちにしておくといいことは何ですか?」という質問は、参加する学生の皆さんに事前に行ったアンケートでも多く寄せられていました。そのためか、講演を聞く学生の皆さんは真剣な表情。熱心にメモを取る姿が印象的でした。

ゲーム業界未経験でもゲーム開発に携われる?

 講演で塩川さんは「ゲーム業界未経験でも、ゲーム開発に携われますか?」というよくある質問を挙げ、クリエイティブ(制作業務)以外にも、スケジュールやタスクを管理するプロジェクトマネジャー(PM)という仕事があると紹介。PMは、クリエイターをクリエイティブに専念させるためのゲーム開発者だといい、塩川さんは「おそらくゲームに関する知識や技術が一切なくても、“最短距離で”ゲーム開発に携われる役割」と説明しました。

 また「ディライトワークスでは、どんな人材を求めていますか?」という質問には「ナンバーワンにこだわる覚悟が必要」と答えました。

 塩川さんは「ゲーム業界は、ナンバーワンを目指さずには勝負の土俵にすら上がれない世界なので、高い目標を持って挑戦し続けること」が大切だと説きます。その上で「売上目標など環境に流されやすい場面もあるが、『面白いゲームを作ろう』といった自分の思いにこだわり、毎日自己ベストを狙うこと」や「ゲーム開発は1人ではできないので周囲を巻き込めるように、絶対に面白くするという覚悟」が必要だと話していました。

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 講演後は、塩川さんとITmedia NEWS編集部が対談。出席した学生の皆さんから寄せられた質問に塩川さんが回答しましたが、熱量のある質問の多さに、予定していた30分間の時間をオーバー。その後の懇親会では、学生さんが塩川さんを囲みながら追加で質問をしたり、学生同士で交流を深めたりしました。参加者の中には、東京開催にもかかわらず関西から訪れた人もいるなど、反響の大きさに編集部もびっくりでした。

 ITmedia NEWSは今後も、ヤバわか勉強会と題して学生向けイベントを行う予定です。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

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