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カードキャプターさくらで考える“呪文と認証の関係”架空世界で「認証」を知る(1/3 ページ)

» 2019年05月20日 07時00分 公開
[朽木海ITmedia]

この記事は認証セキュリティ情報サイト「せぐなべ」に掲載された「架空世界 認証セキュリティセミナー 第16回『さくらと魔法の認証【カードキャプターさくら】」(2018年2月22日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。当時未発売だった製品やサービスの記述などは、本記事掲載時の状況に合わせて編集しています。

新シリーズも好評な魔法少女モノの名作

 ……それでは講義を始める。

 前回はSFアドベンチャーゲーム「ポリスノーツ」を題材として、ゲームのコピープロテクトがゲームの謎解きと溶け合う、いわば「現実とゲームが溶け合う」認証を紹介した。

 昔のPCゲームのコピープロテクト事情にも詳しくなれたと思う。いかがだっただろうか。実は、Twitterで「#コピープロテクトの思い出」(※1)とハッシュタグをつけて、いろいろな思い出をつぶやいてもらう連動企画を行っていた。こちらでまとめているので、興味のある諸君はご覧いただきたい。

※1:「せぐなべ」掲載当時の企画です。

 さて、今回は多くの読者からリクエストをいただいた、魔法少女と認証をこじつける……いや、解明する試みを行っていきたいと思う。題材となるのは「カードキャプターさくら」だ。

「ぜったい大丈夫だよ!」

 まずは基本データから紹介しよう。

 原作は女性漫画家集団「CLAMP」によるマンガで、1996年より雑誌「なかよし」に連載され好評を博した。1998年4月にはNHK BS2(当時)にてアニメ化。個人的な感想だが、「美少女戦士セーラームーン」から始まる魔法少女&バトルヒロイン作品に、「誰も傷つくことのない」優しい世界観がミックスされたことにより、CLAMPの作風も合わせて男女分け隔てのないブームとなったように感じている。

 幾度か起こった魔法少女モノのブームの中でも、鍵となる作品の一つであることは間違いないだろう(※2)。

※2:諸説あるが、魔法少女ブーム第1期の端緒は横山光輝の「魔法使いサリー」、第2期の端緒は「魔法のプリンセス ミンキーモモ」、第3期がここで語られている「美少女戦士セーラームーン」から「カードキャプターさくら」への一連の流れ、そして第4期の端緒はMagica Quartetによる「魔法少女まどか☆マギカ」であろう。筆者の独断ではあるが。

 あらすじを紹介しよう。

 小学4年生の少女「木之本桜」が自宅の書庫で不思議な本を発見したところから物語は始まる。さくらは、とあるきっかけで本に収まっていた不思議なカードを街中に吹き飛ばしてしまう。それは「クロウカード」といい、かつての魔術師「クロウ・リード」が作り上げた魔法のカードだというのだ。「この世に災いをもたらす」という「クロウカード」を回収するため、封印の獣「ケルベロス」とともに、回収を開始する……。

 Eテレ(NHK教育テレビ)で何度か再放送されているのを見た方も多いと思う。子供の世代から大きなお友達まで、幅広く大ヒットした作品だ。そして2018年1月より新エピソード「クリアカード編」が放送された。可能な限りかつてのスタッフとキャストを集めており、18年のブランク(!)を感じさせない仕上がりとなっていた。

 なお、今回の講義では「クリアカード編」のネタバレは極力避けるようにするため、未視聴の諸君も安心してほしい。

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