まだ日本人ユーザーが少ないせいか、日本語のチャットルームを探すのも一苦労。そんな中、とあるチャットルームを発見したので試しに入ってみた。
このルームでは全般的に愚痴に近い雑談話が聞けた。「下心ありで、仕事手伝いますという男性が多いけど、実際仕事任せると全然できない。できないなら引き受けないでほしい」「外資系金融出身で本を出す人はその業界では終わりだといわれているらしい。本当にすごい人は会社を辞めないから。その話を聞いてからそういう肩書の人の本は買わなくなった」
刺激的な内容だったが、テキストでログが残るTwitterとは異なり、音声はアーカイブされづらい。Clubhouseは人の“ぶっちゃけ話”を引き出しやすい環境になっていると感じた。
次に入ったのが、マーケティングが専門という起業家が主催するルームだった。トークテーマは「Clubhouseをどう活用するか」。
この主催者の起業家によると、「Clubhouseの招待制がアプリの価値を高めている」という。「新型コロナウイルスの感染力が1人当たり1.1人から1.2人と算出した海外のデータがある」といい、それを基に「1人2枠というのはサービスを拡散させるには理にかなっているのではないか」と独自の考えを主張していた。
サービスの特性にも触れた。「現状、ユーザー層の大半がベンチャー企業の経営者が多く、実名登録が多い。まだユーザー数が少ないのでオフレコ話もできるが、投資家も見ているかもしれないので、酔った勢いでの配信は危険だ」としつつ、「アーカイブとして動画が残らないので、気軽にアイデアベースの考えを発信できる。Twitterだと、140字以内で考えをまとめないといけないし、過去の投稿履歴を取り上げられて炎上するかもしれない」と笑いを交えて話していた。
その他、視聴していたユーザーからは「Twitterでフォローしかしていなかった人の声を聞くと、急に親近感がわく」などの意見も挙がった。
著名人の活用も出てきている。メディアアーティストの落合陽一さんは1月25日、「#clubhouseを使ってみた」というタイトルで、自身の「note」を更新。Clubhouseの配信を通じて、新たな仕事が決まったという。
落合氏はnoteで「僕にとって知らない人と会話するチャンスは大抵パネルディスカッションか雑誌かテレビの取材か学会なんだけれど、それと同様の音声コミュニケーションをいつでもどこでも始められるのはすごい」とし、「話せば分かることも文字では伝わらないことがほとんど。そこの隙間をうまくついているような気がする」と私見を述べた。
今回、幸運にも招待を受け、新しいサービスに一足早く触れることができた。取材も兼ねた体験だったが、音質も良く、Clubhouseに対して参考になる視点も多く得られた。
視聴したいチャットルームにダイレクトでアクセスできない点や、音声配信のみで機能が少ない点など一部不満はあるものの、総じて非常に楽しいサービスだ。今後も昼休みや就寝前などの時間を見つけて視聴しようと思う。
ClubhouseはVCからの資金調達でAndroidアプリの開発も予定されているという。今後、YouTubeのように投げ銭機能などが備われば、プロデューサーやクリエイターが本格参戦し、企画力がますます求められる巨大プラットフォームになるだろう。
コロナ禍で在宅勤務を導入する企業が増え、人と接する機会が減りつつある中、Clubhouseは“音声版Twitter”とも呼ばれるようにTwitter色が強く、緩さがある音声プラットフォームだ。コロナ禍での生活様式の中に、仕事終わりの新たな息抜きとしてClubhouseを使ってみるのもいいかもしれない。
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