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「海ないのに」 神奈川の津波注意報メール、県外にも届いていた

» 2022年01月17日 20時54分 公開
[ITmedia]

 1月16日に発生したトンガ沖の海底火山噴火に伴う津波注意報の緊急速報メールが神奈川県内のスマートフォンに繰り返し届いた件で、神奈川県は県民に謝罪した。しかし緊急速報メールが届いたのは県民だけではなかった。

16日午前1時過ぎのTwitterトレンド。「津波警報」「津波注意報」など関連ワードがトレンドの上位を占めた

 神奈川県に津波注意報が出たのは1月16日の午前0時15分。その後、ほぼ同じ内容の緊急速報メールを繰り返し配信し、多いところで朝までに20件前後になった。地域ごとの配信回数を合わせると626件に及ぶ。

 緊急速報メールは、端末をマナーモードにしていても専用の着信音が鳴るため、深夜に繰り返される着信に多くのユーザーが困惑。Twitterでは未明から「津波警報」「津波注意報」など関連するワードがトレンドを占めた。中には「端末の電源を切った」「設定を変更した」というユーザーもいた。

 当該緊急速報メールは神奈川県内だけでなく、隣接する地域のユーザーにも届いており、Twitterでは「町田市にも緊急速報メールが入ってくる」「海もなければ神奈川でもないのに」といった投稿が相次いだ。他にも多摩市や世田谷区、大田区など幅広い地域に住むユーザーが同様の報告をしている。

 緊急速報メールが県外の端末にも届くのはキャリアが設置した基地局ごとに対応端末へ一斉送信するため。基地局のカバーエリアは地図上の県境とは異なり、電波の届く範囲は環境やその時の状況によっても変わる。今回、神奈川県は横浜市など海沿いの地域を中心とした16市町を対象に緊急速報メールを配信したが、それぞれの近接地域にも影響したとみられる。

 繰り返し配信された理由について神奈川県は、委託業者が県の災害情報管理システムに誤ったプログラムを設定していたためと説明。津波警報で配信するはずが注意報で配信された上、気象庁が全国の津波情報を更新するたびに配信していた。すでに修正済みという。

 緊急速報メールは回線混雑の影響を受けずに緊急性の高い情報を多数のスマートフォンに一斉送信する有用な情報伝達手段だが、今回のようなトラブルで設定をオフにされるといざという時に役に立たない。神奈川県は設定を変更したユーザーに対し、元に戻すように呼びかけている。

キャリア3社による自治体向けの緊急速報メール説明資料。頻繁に緊急速報メールを配信するとユーザーがオフにしてしまい、危険にさらすことになりかねないと指摘している

【訂正:2022年1月19日午後6時50分更新 ※初出時に「エリアメール」としていた部分を「緊急速報メール」に修正しました。エリアメールはNTTドコモの登録商標です】

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