同会の平井志穂子税理士によると、インボイス制度の影響を大きく受けるのは、B2B取引において下請側が免税事業者である場合だという。
下請側がインボイス発行事業者として登録する場合は、課税義務が発生し納税負担が増加する。登録しない場合はインボイスを発行しないため、元請側が仕入れ税額として計上できず、元請側の納税負担が増加する。
「一般的には下請け側が登録して課税事業者にならなければ仕事を取れなくなる可能性が高い」(平井税理士)
影響する職業として同会が上げたもののうち、IT系に属するものは、Webデザイナー、Uber Eatsなどの配達パートナー、フリマサイト出品者、クラウドワーカー、アフィリエイター、及びそれらと取引のある元請企業などがある。
経費精算の場面でも、仕入れ税額を計算するため、買い物をする際には常に買い物先がインボイス発行事業者かどうかを確認する必要が生じる問題があるという。経理は請求書ごとに登録番号の確認などの作業が発生するため事務作業が複雑化する可能性がある。
「現状、経過措置として(請求書には)8%、10%といった税率が表示されており、(インボイス制度の導入で)変わるのは登録番号の有無だけ。現行の領収書で適正に運用できているため、インボイス制度が必要な理由はない」(平井税理士)
「これまで所得税の申告も不要だった人でも、課税事業者になる可能性がある。(中略)年収300万くらいなら、消費税負担は年間15〜20万くらいと、生活を脅かすレベル」(佐々木税理士)
インボイス制度の中止を求める税理士の会は今後、TwitterなどSNSを通じて、インボイス制度の認知拡大や、反対する税理士の募集などを進めるとしている。
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