太陽光パネルと蓄電池に「見える化」を組み合わせ、京セラが住宅向けシステムを発表蓄電・発電機器

太陽光パネルに蓄電池を組み合わせ、電気料金低減やピークカットなどの効果を狙ったシステムが登場し始めている。京セラは発電量や電力使用量を「見える化」するシステムと組み合わせ、独自色を打ち出す。

» 2012年03月29日 23時07分 公開
[ITmedia]

 京セラは2012年4月1日、住宅向け太陽光パネルにリチウムイオン蓄電池を組み合わせたシステムの受注を始めた(図1)。2012年7月中旬から出荷を開始する。

ALT 図1 京セラが提供を始める住宅向け太陽光パネルと蓄電池。HEMSを組み合わせることで、電力使用量などのデータを細かく監視することが可能

 住宅向けのエネルギー管理システム(HEMS:Home Energy Management System)を組み合わせたことが特長(図2)。HEMSが太陽光パネルとリチウムイオン蓄電池を制御して、ユーザーによる設定に合わせて動作させる。

 設定は6種類用意している。例えば、太陽光パネルで発電した電力をなるべく電力会社に売電するように運転する設定や、安価な深夜電力を蓄電し、ピーク時に放出するようにする設定などがある。

ALT 図2 太陽光パネルと蓄電池は分電盤につながる。HEMSはこの分電盤につながり、電力の使い方を制御するほか、電力消費量などのデータを取得する。出典:京セラ。画像をクリックすると拡大

 部屋単位など、細かい単位で消費電力量を確認できることも特長。HEMSが分電盤の回路ごとに消費電力量を測定し、別々にデータを収集する。最大で16回路まで監視できる。例えば、1部屋に1回路ずつ割り当てているなら、16部屋の消費電力量を別々に監視可能。

 HEMSが測定した各種データは、テレビやスマートフォン、タブレットといった機器を利用した「見える化」が可能。HEMSは無線LAN通信機能を持っており、家庭の無線LANルータを経由して、無線LAN通信機能を持つテレビと通信する。テレビは、HEMSが計測したデータを表示機器が受信して、消費電力量の推移を示したグラフや、電力会社に売電した量などを表示する

 テレビのほかにも、アップルのiPhoneなどのスマートフォンや、iPadなどのタブレットもHEMSからのデータを受信して表示できるようにする。iPhone、iPadのほかに、Androidを搭載したスマートフォンやタブレットでも同様の機能を使えるようにする(図3)。将来は、ガスや水道の使用量も監視し、結果を表示できるようにする予定だという。

ALT 図3 タブレット端末に、電力使用量などのデータを表示したところ。将来は、ガスや水道の使用料金も表示できるようにする予定。画像をクリックすると拡大

 リチウムイオン蓄電池の蓄電容量は7.2kWh。3時間でフル充電でき、480Wの電力を連続で12時間供給できる。同社の試算では、冷蔵庫、扇風機、液晶テレビ、パソコン、蛍光灯スタンドを動作させるための電力と、携帯電話を充電するための電力を合計するとおよそ480Wになるという。

 また、リチウムイオン蓄電池をもう1台追加して、蓄電容量を倍増させることも可能。同社は、2台のリチウムイオン蓄電池を利用すれば、小規模な事業所でも利用できるとしている。

 価格は、太陽光パネルの選択や、接続するリチウムイオン蓄電池の容量によって異なる。太陽光パネルのパワーコンディショナの出力が4.03kWになる例なら、太陽光パネルとリチウムイオン蓄電池1台とHEMSをセットにして5,172,300円(税込:以下同様)となる。上記の組み合わせからHEMSを除くと、4,962,300円。

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