2003年度、BtoC(対消費者取引)市場規模は4兆4,300億円に達し、前年度比65.0%増となった。これは、5年前の1998年度の実績の、じつに70倍近い(インターネット白書2004)。
このように、ECビジネスが順調に拡大するなか、各ECサイトはいままで、新規顧客の獲得を目指し、広告対策やインターネット上での露出度アップに力を入れてきた。具体的には、検索サイトなどへのバナー広告、検索サイトで上位に表示されるためのSEO(検索エンジン最適化)、Googleのアドワーズ広告に代表されるようなキーワード広告(入力されたキーワードに応じて広告が表示される)などへの取り組みである。
これらの手法を駆使して、多くの新規顧客の獲得に成功した勝ち組企業は、いまや顧客ターゲットを新規顧客から既存顧客へとシフトし、既存顧客が購買頻度や購買単価を高めることでさらなる売上向上を図ることに軸足を置くようになってきている(図1参照)。
既存顧客の購買頻度や購買単価を高めるには、ECサイトへの再訪(リテンション)を促し、「ついで買い(クロスセル)」を誘うか、「より付加価値の高い商品の推奨(アップセル)」を行うことが有効となる。そのソリューションとして、再評価されているのがリコメンドソリューションである。
リコメンドソリューションとは、ECサイトなどにおいて、いくつかの判断ロジックを用いて、顧客1 人ひとりの嗜好に合ったコンテンツや商品をタイミングよく提示し、売上増大と、顧客満足度向上によるリピーターの増加を図るソリューションである。これを導入すると、Webページのトップ画面で顧客ごとに違うお勧め商品を提示したり、商品購買画面でクロスセルを促す商品を提示したりすることが可能になる。
リコメンドソリューションは、2000〜2002 年頃に外資系ベンダーなどによって日本に持ち込まれた。しかし、当時のリコメンドソリューションは比較的高価であり、また、日本のEC市場も十分に成熟していなかった。このため、市場の拡大や新規顧客開拓が優先され、一部のサイトを除いて定着することはなかった。
このように、数年前には、時期尚早として見送られていたリコメンドソリューションであるが、最近のECビジネスの市場規模の拡大と成熟にともない、ようやくその必要性が認知されるようになってきた。
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